土曜は友達と飲み会、日曜日は午後に起きて家でダラダラ……。そして5時半になって流れる「笑点」の軽快なメロディー、そして恐怖の「サザエさん」……。来てしまう。月曜日が。どんどん憂鬱になっていく。ああ、ここで時間が止まればどんなによいか……。
月曜、仕事に行きたくない。そんな人は少なくないはず。(わたしももちろんそのひとり)でもこれ、実はれっきとした病気の可能性があるのです。もちろんさまざまな条件はありますが、従来の「うつ病」には当てはまらないニュータイプ、「非定型うつ」がそれです。
非定型うつとは、どんな病気なのか、見ていきましょう。

非定型うつ病とは──「うつ病」の診断基準にあてはまらないうつ病

「うつ病」は、メディアにも取り上げられることが多く、みなさんもイメージしやすい病気かと思います。気分が落ち込み、何も楽しくない、何もしたくない。そんな自分を責めてさらに落ち込んでしまう。気分の落ち込みから抜け出せなくなってしまう病気です。

一方、非定型うつ病は、うつ病とは異なる、もしくは真逆の症状が見られます。従来の「うつ病」の診断基準に当てはまらないが、日常生活に支障を来していた人たちに、ある薬を処方したら改善が見られた。それが「非定型うつ病」が生まれた瞬間です。

近年、「新型うつ」という言葉が取り沙汰されていますが、「新型うつ」というのは正式な病名ではなく、定義もはっきりしていません。一方、非定型うつ病は、アメリカ精神医学会が発行している「DSM」という精神障害の診断マニュアルに掲載されており、きちんとした“病名”とされています。

非定型うつ病の症状──楽しいことはできるのに、嫌なことはできない

非定型うつ病の代表的な症状には、下記のようなものがあります。従来型のうつ病と比較しながら見てみましょう。

・気分反応性

よいことがあると気分が上がるが、悪いことがあると急激に落ち込む症状です。たとえば、仕事で小さなミスを上司に指摘された時など、落ち込んで会社を休んでしまい、会社を休んでいるはずなのに、友人からの飲み会の誘いには喜々として足を運んでしまう、といったケースです。従来型のうつであると、気分の起伏がなく、何事に対しても感情が動かなくなります。

・過眠、過食

寝ても寝ても眠気が取れず、布団から出られない過眠になることがあります。また、気分が落ち込んだ時に衝動的に過食に走ることもあります。特に、甘いものの過食をする人が多くいます。過食をして、寝てばかりなので、結果的に体重が増加します。一方、従来型のうつでは、食欲が落ち、不眠に陥りやすいです。体重は減少傾向にあります。

・鉛様麻痺(なまりようまひ)

手足が鉛のように重くなり、動けなくなってしまいます。特に、嫌な仕事を押し付けられた時などに、急に体が動かなくなったりします。従来型のうつでは、継続的に全身の倦怠感があるのが特徴です。

・夜に気分が落ち込む

夜になると、急激に気分が落ち込み、涙が出てきます。「なんでこんなにわたしばかりつらいのだろう」と悲観的になります。夜になると症状が強くなるのが特徴です。従来型では、朝方に気分の落ち込みが強いことが多いです。

・拒絶過敏性

非定型うつ病の人は、他人の評価に敏感です。例えば、仕事のミスを指摘されると、全人格を否定された気分になったりします。また、家で料理をした際に、家族から「少し味がうすかったね」などと言われると、過剰に気分を悪くして「もう二度と食事は作らない!」などという極端な反応が見られます。従来型のうつ病では、自分が全て悪い、という「自責の念」が強いので、拒絶過敏性は正反対の反応といえるでしょう。