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名義預金の相続財産への帰属を否定

相続税調査においてもっとも重要な論点は「名義預金」だといわれている。名義預金とは、名義こそは配偶者や子ども・孫などの名義だが、実質的には被相続人の預金といえるもののことだ。相続が近づいていることを予知した相続人が、相続財産の圧縮を図って預金の一部を家族の名義に変更し、相続税の申告時に財産として計上されていないケースは多い。

課税庁としては、これを許すと相続税を納税する人がいなくなってしまうため、税務調査時にはこうした家族名義財産のうち、実質的に被相続人に帰属するものがないか懸命に調査を行う。こういった背景もあり、相続税の追徴課税処分の中で圧倒的に多いのが、家族名義預金(財産)によるものである。

■納税者が処分取り消しを請求

今回は、被相続人の家族名義の預貯金が、相続財産に帰属するか否かの判断が争われた事例を紹介する。

税務調査において課税庁は、相続税の申告の際に相続財産として計上されていなかった被相続人の家族名義の各預貯金は、実質的には被相続人の相続財産であると、相続税の更正処分を実施。しかし、納税者側は、相続財産と認定された各預貯金は相続人固有の預貯金であり、被相続人の相続財産には当たらないと主張。課税庁の処分取消しを求めて、審査請求を行った。

■家族名義預金の相続財産への帰属が否定された

課税庁の主張は、「相続人に預貯金を形成する資力はなく、また預貯金の管理及び運用は被相続人及び被相続人の配偶者が共同して行い、また贈与の事実も認められないため、名義は相続人となってはいるものの、実質的には被相続人の預貯金である」とういもの。

ところが裁決によると、相続人の各預貯金等の出処は、いずれも子名義の口座から引き出された貯金の払戻金であると認定した。そのうちのひとつの名義口座においては、公共料金等の支払の入出金が大半を占めており、その口座開設も婚姻後早々に子らが行い、印鑑票の筆跡も子らのものであるということ。そして、生活費等の名目で被相続人から受け取った金銭は、子の中のひとりが管理し、口座の通帳は子らが管理していたなどの事実があることを認定した。

よって相続人名義の口座の預金は相続人に帰属し、被相続人の相続財産として認められないと判断。課税庁の処分を取り消したのである。

■家族名義財産の注意点

今回の事案は、課税庁が処分した案件を不服審判所がひっくり返した事案であるが、家族名義の財産を被相続人の財産と言われないためのポイントが凝縮されている。

そのポイントをまとめると下記となる。

1.家族名義の口座の通帳やキャッシュカードの管理は誰が行っていたのか
2.預金の届出印が相続人自身の印鑑かどうか
3.預金の届出住所が、相続人の現在の居住している住所かどうか
4.口座開設についての申込書等の筆跡が相続人自身のものであるか

■おわりに

今後、相続を控えている資産家の方は、実質的に誰の預貯金であるかを判断する際の判断材料を確認して、注意しておくことが賢明である。

著者: KaikeiZine編集部

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