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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:非居住者④ 国内源泉所得の範囲と課税の仕組み

非居住者が課税されるのは「国内源泉所得」のみであり、その所得の種類や国内に事業の拠点となる施設(恒久的施設)を有するかどうかによって課税の方法が異なります。今回は国内源泉所得の範囲、国内源泉所得の課税の仕組みについて確認します。

■「国内源泉所得」とは

日本の居住者であれば、原則として、日本国内はもちろん国外において稼得した所得も課税対象とされます(全世界所得課税)。一方、非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。
「国内源泉所得」には次のようなものがあります。

1 日本の恒久的施設(PE)に帰属する所得

2 国内にある資産の運用又は所有により生ずる所得

3 国内にある資産の譲渡により生ずる所得

4 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの

5 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価

6 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価

7 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価

8 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等

9 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等

10 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの

11 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの

12 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの

13 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品

14 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等

15 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等

16 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配

17 その他の国内源泉所得

 

 

■国内源泉所得の課税の仕組み

国内源泉所得の課税方法の全体像は次の表の通りです。この表は、非居住者が日本で国内源泉所得を稼いだ場合に、どのように課税されるかを一つの表にまとめたものです。

国内源泉所得の種類や恒久的施設(支店・工場など、事業を行う一定の場所)の有無などによって、課税方法が異なることが分かります。

 

≪表:非居住者に対する課税関係の概要≫

 

(注)上の表の源泉徴収税率は所得税のみの利率となっています。平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間は、上記の源泉徴収税率に復興特別所得税(本来課される所得税に対して2.1%)が付加されます。それにより、この間の源泉徴収税率は次のようになります。
10%→10.21%、 15%→15.315%、 20%→20.42%

上の表の通り、非居住者の国内源泉所得に対する課税方法は、国内源泉所得の種類に応じて、以下の3通りの方法があることが分かります。

【源泉分離課税】→収入をもらう時に所得税が源泉徴収されて課税が完結するもの

【総合課税】→自ら確定申告して納税するもの

【源泉徴収の上、総合課税】→収入をもらう時に所得税が源泉徴収され、確定申告を行うことで所得税を精算するもの

■検討の手順

非居住者の課税を考える場合、実務上は以下の順序で検討します。

STEP1居住者か非居住者かの判定を行う

STEP2日本国内に恒久的施設を有するか否かを確認する

STEP3受領した所得が国内源泉所得に該当するか否か、該当する場合にはその所得の種類に応じた課税方法を確認する

 

■ケース

フランスで活動するサッカー選手Xは、フランスのサッカーチームから報酬をもらっています。また、Xは日本国内に不動産を保有していて、当該不動産の賃貸収入を得ています。

この場合、Xの日本での課税関係はどうなるでしょうか。

なお、Xは国内に恒久的施設は有していません。


(回答)


Xはフランスで活動していることから生活の拠点はフランスにあると考えられるため、「非居住者」に該当します。また、Xは国内に恒久的施設は有していません。

次にXが受領している収入が国内源泉所得に当たるかを確認します。

まず、Xはフランスのサッカーチームから報酬をもらっていますが、これはフランスでの活動に基づくものですから「国外源泉所得」に該当し、日本では課税されません。

不動産の賃貸収入については、国内にある不動産の賃貸料なので「国内源泉所得」に該当し、日本で課税されます。課税の方法は、上の表によると⑥に該当し、【源泉徴収の上、総合課税】となりますので、受領時に所得税が源泉徴収されます。更に、日本で確定申告が必要となり、その際、源泉徴収された税額は精算されます。

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租税調査研究会事務局
tax@zeimusoudan.biz

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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