税理士試験に合格するためにたくさん勉強しました。晴れて税理士試験に合格し、2年の実務経験を積んで税理士登録。でも、それがゴールではありません。そこからスタートした長い税理士人生において、税理士としてスキルを高めていくことはこれからもずっと続きます。

どんな仕事でも、日々インプットは必要だと思います。特に税理士の場合、毎年改正される税法についてのインプットは必須です。税理士法人に勤務していたころは、毎月の月例会議で、税制に関するそのときどきのホットなトピックスについて研修がありました。先輩税理士が改正点について講義してくれたり、生命保険会社の方が保険を使った節税方法等についてお話してくださったり。

私の場合、それとは別に、数名の同僚といっしょに仕事の進め方を共有するミーティングを行っていました。事務所にはマニュアルがあったので、それに沿って仕事を進めていたものの、細かな点では個々の進め方があり、意外とお互いの進め方は知らないものです。そのミーティングの場で「私はこのように進めている」とお互いのノウハウを共有し合うことで、よりスムーズな仕事の進め方を知り、どこに注意するべきか、どのような点を見るべきなのかなどについて学び合いました。このミーティングは、多いときは週一ほどのペースで開催していたのですが、自主的に行っていたこともあって、とても楽しかったです。

セミナーでの一コマ。

このように、勤務税理士だったころはある程度、自然と学べる環境があったように思いますが、開業してからはそうはいきません。自分から学ぼうとしないと、「何年か前の知識のまま止まっている・・・」なんてことになりかねません。ですから、常にアンテナは張るように心掛けています。

まず、税理士会等が主催する無料の研修会は大いに活用しています。勤務税理士だったころは、ほとんど受講したことがなかったのですが、開業してからは税理士に義務化されている年間36時間以上の研修を受講するようになりました。義務化されているとはいえ罰則は今のところないのですが、今年度より、日本税理士連合会のホームページで研修時間が公表されるようになりました。税理士会等が実施する研修については、「税理士界」という新聞でテーマやスケジュールを知ることができます。FAXでもお知らせが届くので、時間の都合と相談しながら、興味のあるテーマがあれば聴きに行っています。会場に行けない場合は、研修ホームページよりオンデマンドで聴くこともできます。ただし、会場に行かないと資料はもらえないので、資料が欲しいときは、税理士会に郵送料分の切手を送り、送ってもらいます。年間36時間ということは、毎月平均3時間受講すればOKということなのですが、仕事が忙しくなるとこういった研修はつい後回しになりがちです。でも、オンデマンドで、いつでもどこでも講義を聴くことができますし、「自分の知識=商品」なので、できるだけ多くの講義を受講したいと思っています。(せっかく税理士会会費払ってますしね!笑)

その他には、少人数制の勉強会やセミナーにも参加しています。税理士会の研修は大ホールで何百人もの人が参加するものが多いですが、私は数名の税理士で一つのテーマについて話し合うような少人数の研修の方が好きです。セミナーや研修会情報は、知り合いのブログやFacebookで知ったり、直接誘っていただいたりしています。数名で行う勉強会では、ときどき話が脱線してしまうこともありますが、実務に即した実践的なことを学べます。参加者はそれぞれに得意分野が違うので、さまざまな疑問が出てきますし、いっしょに条文を調べたり、どう解釈するかについてディスカッションしたりと、一人で調べたり本を読んでいるだけではなかなか頭に入ってこないので、私にとっては大変貴重な時間です。

あとは、勤務税理士時代から所属している税務会計研究学会の年に一度開催される全国大会にも参加しています。これは、毎秋の土日に開催されているので勤務税理士でも参加できます。そこで発表される内容は、社会情勢が税に与える研究など、すぐに実践できないお話も多いですが、普段聞けないお話が多く、大変おもしろいです。

このように、日々のインプットはできるだけ積極的に行うようにしています。でも、仕事のスキルアップのためには知識を積み上げるだけではダメで、現場で冷や汗をかいたり胃が痛くなったりしながら(笑)、経験を積み上げていくことも大切だと思っています。これからもお客様と向き合いながら、人としても成長し、頼られる税理士になりたいと思っています。