自社株の相続はかえって迷惑――。M&A仲介会社のストライク(東京・千代田区、代表取締役=荒井邦彦氏、以後「ストライク」)が中小企業の経営者の妻に、将来相続したい資産を聞いたところ、9割近くの人が「現金・預金」と答えた。相続対策の一環として事業承継を考える際に誰に何を残すか、相続・事業承継のアドバイザーでもある職業会計人にとっても興味深い結果になっている。

調査は今年8月、経営者の妻に対してインターネットを通じて実施したもの。有効回答者(複数)は103人だった。
妻が残してほしいとした資産では、「現金・預金」が89.3%と最も多く、次いで「保険金」64%、「居住用不動産」49.5%、「有価証券(国債・上場株式・投資信託)」の順になっている。

一方、残されて困る資産では「経営する会社の自社株」と答えた人が37.9%にのぼり、2番目に多かった「美術品、骨董品」18.4%を大きく上回った。相続対策で不動産活用を考える資産家も少なくないが、「賃貸用の不動産」についても8.7%と上位となっている。最も低かったのが「保険金」1%で、次いで「現金・預金」が4.9%。妻としては、いわゆる“お金”は残されても困らないというのが本音ということだろう。

この結果を受けてストライクの荒井邦彦社長は、自社株の不人気について「自社株は換金できないという思い込みがあり、財産とみなされていない可能性がある」とみている。

経営者の妻も税理士・会計士を頼りに

「会社経営や株式の処分に関する情報源として考えられるもの」との質問に対しては、「税理士・公認会計士」と答えた人が78.6%でトップ。「弁護士」25.2%や「銀行・信託銀行」
12.6%がそれに続いた。「商工会議所・事業引継ぎ支援センターなどの公的窓口」と答えた人は8.7%にとどまった(図1)。

このほか、信頼できる情報源としても「税理士・会計士」が61.2%と圧倒的に多く、「弁護士」13.6%、「商工会議所・事業引継ぎ支援センターなどの公的窓口」4.9%を大きく引き離している(図2)。

税理士・会計士が経営者の妻から頼りにされている一方で、「事業承継に関する情報提供を受けたことがある先は」という質問に対しては、71.8%が「受けたことがない/信頼できた先がない」と回答、「税理士・公認会計士」は23.3%だった。

(資料提供:株式会社ストライク:https://www.strike.co.jp/