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“税界”の裏話  海外に転勤していたときに入った生命保険の控除

友人が3年間の海外勤務を終えて日本に帰国した。海外に勤務中、その国で生命保険に入ったらくしく、年末調整で生命保険料控除の適用を受けたいのだが、どうしたらよいのか相談あった。ただ、生命保険料控除証明書は発行されていないという。

海外に転勤していた友人が3年間の海外勤務を終え、日本に帰ってきたことから、昨年秋、久しぶりに旧友数名で集まった。
アルコールも入り、盛り上がってきたころ、帰国した友人からこんな質問を受けた。
「海外勤務のときに、現地の同僚の勧めで生命保険に入ったんだけど、そろそろ年末調整なんで生命保険料控除を受けるのどうしたらいいのかな?生命保険料控除証明書が必要と会社では言われたけど、そんなものないんだよね。どうしたらいいの」。
他の旧友たちも興味があったようで、「海外のほうが保障内容や金利がいいものがあると聞いている。生命保険料控除受けられるなら、俺も入りたいな」など、この話題で盛り上がった。
しばらく、ワイワイといいたい放題言ったところで、筆者に「で、結局、控除受けるためにはどうすればいいんだよ」と、みなの視線が集まった。
全員が、何かを期待している眼。場が白けるのであやふやな返事でもしようかと思ったが、アルコールが入っていたためか意外にも口から出たのは「海外の現地の生保の生命保険は、控除受けられないよ」というストレートな答え。
期待していた答えではなかったことから、皆が口々に「え~なんでだよ!外資系生保の生命保険は控除受けられるのに、なぜ外国で入ったらだめなんだ」と絡んできた。
「仕方がない、ちょっと説明したる」と、以下のように話をした。
所得税法には、生命保険料控除は、日本に住んでいる人が毎年、保険料等を支払った場合に、生命保険等の区分に応じて一定金額について、その年分の総所得金額や退職所得金額などの合計額から控除できるものとある。つまり、日本に住んでいる期間に、生命保険料控除の対象となる保険料を支払った場合に限って、生命保険料控除が受けられるわけ。他にも細かな用件があるけど、外国生命保険会社等については、外国で締結したものは対象とならないとされていて、国内で締結したものに限って生命保険料控除の対象となると書かれている。だから、海外勤務中に現地の生保に入ったら、生命保険の要件を満たさないから、生命保険料控除が受けられないわけ。
「なるほど、そこまではっきりと書いているわけか」と、話を聞いていた友人は納得していた。転勤で戻ってきた友人も、控除の適用にならないと聞いて残念がっていたが、「今度、会社の同僚と飲んだとき教えてやろう」と、いい話のネタができたと満更でもなかった様子。
でも友人達は口々に「税金の話は難しい。生活の密着したことだけど、そもそも何が節税になるのかも分からない。知らないと損することが多い」と、筆者は不満のはけ口にされた。確かに、税金の法律は複雑だ。自ら税優遇の届出をしなければ受けられない一方で、納めなければ税務署からきつくお灸をすえられる。もっと簡単にならないものか・・・

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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