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【“旅する女性タックスアドバイザー” 世界の税金問題】第23回/赤ちゃんとリュックを背負ってベトナムはダナンへ!

人気連載第23弾! 東京、ニューヨーク、香港と渡り歩いた税制コンサルタントMariaが、あらゆる国の税に関するエピソードをご紹介。今回は、ベトナム・ダナンを旅してきた筆者が、現地の税制についてご紹介します。

一人旅(+赤ちゃん)してきました!

久しぶりに、一人旅してきました! といっても、生後9ヵ月の息子を連れていったので、二人旅というのが正解でしょうか。

今回の旅先は、ベトナム・ダナン。私の住んでいる香港からは、たったの1.5時間ほどの空路で到着します! 赤ちゃん連れの旅行だと、空路が短いのは本当に大切です。

さて、ダナンはベトナムで5番目に人口が多い都市。そして人口増加率がベトナム内で第3位と、まさに今「きてる」都市です!

最近ではビーチリゾートとして、観光地としても発展しています。おしゃれなカフェ、昔ながらのマーケット、最新のバー、リゾートホテルなどなど…何でも揃っているのです。

今回は、ダナンの名所であるミケビーチの近くに泊まりました。日の出がきれい! 砂が真っ白で、美しいビーチでした。

ミケビーチの日の出。とっても綺麗でした!

そんなダナンですが、とにかく物価が安い! たとえばペットボトルの水は40円前後、ビールはブランドによりますが70円前後、ご飯もホテルを除けば一食400円前後でした。物価の高い香港から行ったので、その安さに驚愕しました。

ダナンのみどころ

東南アジアあるある…ですが、とにかくバイクの交通量が多いのは、とてもおもしろい風景でした。

一人乗りはもちろん、二人乗り、ときには三人乗りまでしている方々も・・!

ダナンの見どころとしてまずおすすめするのが、街のいたるところにあるマーケットです。私はハン市場という、屋内マーケットを見に行ってきました。食べ物や、おみやげ、洋服、アクセサリーなど、とても安く買うことができます。

値札のついていない商品ばかりなので、値切り交渉をしないと割高で買わされてしまうことも

また、ダナンから車で40分ほど行くとあるバナヒルズもおすすめです。ここは2013年にオープンした比較的新しい観光地なのですが、世界一長いロープウェイや、神の手と呼ばれるデザインの橋など、見どころがたくさんあります。

ロープウェイはとても長く、少し怖かったです・・。赤ちゃんは怖がることなくケロっとしていました
これが「神の手」と呼ばれる橋。なんともユニークなデザイン! 実はこれを見るためだけに、ロープウェイに乗ってバナヒルズへ行ってきました

ダナンに行ったらぜひ併せて行ってほしいのが、南方にあるホイアンという街。こちらもダナンからは車で40分ほどです。

ホイアンは、中国人街を中心に古い街並みが広がっています。その美しさは、1999年にユネスコの世界遺産に登録されたほどです。実は17世紀には日本人街もここにあり、多くの日本人が住んでいたといわれています。

ホイアンの路地裏

今では観光名所として、古い建物の一軒一軒が、おしゃれなカフェや、レストラン、バー、おみやげ屋さんなどになっています。物価は観光地であることを反映してか、ダナンより少し高く感じました。

ベトナムの税制

さて、税制の話をしましょう。今回はベトナムの租税法の歴史や体系について紹介させていただきたいと思います。

ベトナムの税法体系は、日本の法体系(憲法を上位に、法律があり、政令があり、省令や府令があり、さらに施行規則が細目や事務手続きを定める)と似ています。ベトナムの法体系も上位から下位への委託関係にあるのです。

ベトナムにおける税法と法律以下の体系は、リストの上から順に以下のようになっています。

このようにきちんと整理された法秩序があるように見える税法郡ですが、実はベトナムの租税法はまだまだ発展途上であり、改正が頻繁に行われています。その理由は、ベトナムが社会主義国家であることと関係しています。

社会主義国家として発展してきたベトナムは、計画経済で成り立ってきました。そんなベトナムの発展を過去にけん引してきたのは、国営企業。その利益が、上納金として国の歳入となっていたのです。

しかし、1986年から始まったドイモイ政策によって、積極的に市場の開放や経済の活性化のための政策が採られるようになりました。市場が活発になるにつれ、歳出(設備投資など)も増えていきます。増える歳出へ答えるために、1988年頃から、ベトナムは本格的な税制改革に乗り出したのです。本腰を入れて税法が変わり始めたのは、ごく最近なのです。

そのほかに考えられる理由は、社会主義国家として市民の自由な経済活動という概念がそもそも薄かったことです。自由経済から生まれる富をどう租税していくか、という考え方がなかったのかもしれません。

さらに、発展途上国として外国からの政府間援助(ODA)を通じて資金等の支援を受けてきているため、国内の租税を強化するインセンティブが薄かったということも、税法が近年まで発展しなかったことの理由です。

さて、そんな背景のもと始まった税制改革ですが、まずは1990 年に取引高税、個別消費税、利潤税が法制化されました。ついで1991 年には、土地使用税、家屋使用税の法制化、そして個人所得税改正(特に高額所得者に対する負担を増やす目的)が行われました。1999 年には付加価値税(VAT:日本の消費税のようなもの)が法制化され、また従来の利潤税は法人所得税へ改革されました。

・・と、このように近年になってどんどん税法が生まれ、進化を遂げていっているのがベトナムです。時代と政策のニーズに合わせて迅速かつ柔軟に税法が改正されるのは、素晴らしいことですね。

これは、ベトナムが一党独裁制だから成し遂げられることでもあります。ベトナムのシステムは“ミニ・チャイナ”と呼ばれるほど中国に似ており、なかでも一党独裁制はその類似の最たる代表例です。

しかし、そこには問題もあります。このような条件下だと、どうしても外部の監視の目の存在が弱くなり、汚職が蔓延しやすくなってしまう傾向があるのです。

ベトナムにおける租税の課題は、まさにここにあります。税務行政、特に、どう汚職と戦うかがチャレンジなのです。

トランスペアレンシー・インターナショナル(腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織)が毎年公表しているCorruption Perception Index(腐敗認識指数)によると、ベトナムのランキングは大変低く、180ヵ国中117位となっています。これは汚職があり、透明性に欠けるということを客観的に示しています。
(参照:Transparency International, CPI 2018

時代にあった素晴らしい税法を法制化することができるベトナム。ぜひ今後、運用面も進化を遂げ、どんどん進化していってほしいと期待します。

最後に・・ベトナムコーヒーは甘くて最高でした!

赤ちゃんが寝たので、コーヒーでほっとひと息。赤ちゃん連れの旅行はやっぱり疲れる!

今日の結論:ベトナムといえばホーチミンやハノイが有名ですが、ぜひダナンへも足を運んでみてください!

 

著者: ワタナベマリア

旅するタックスアドバイザー

香港在住の税制コンサルタント。過去に東京、ニューヨーク、香港にて国際税務アドバイザーの仕事を行う。世界中を旅する会社人に各国の税制のアドバイスを行う中で、制度比較から見えてくる税金のおもしろさを広めようと執筆を始める。現在は香港大学大学院で国際法及び租税法の研究中。慶應義塾大学法学部卒。

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