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法務省が休眠会社等を整理 10年超役員変更登記をしないと“みなし解散”の可能性も

全国の法務局では2019年10月、休眠会社・休眠一般法人の整理作業のため該当会社に通知書を送付した。期限である今年12月10日までに「事業を廃止していない届出」を行わないと、みなし解散の登記が進められてしまう可能性がある。

法務省が休眠会社の整理を進めるのは、いつまでも登記上公示されたままとすることは、商業登記制度に対する国民の信頼を失いかねないことに加え、休眠会社などを買収し悪事を働く輩も少なくないため。
休眠会社が増えた大きな理由の一つに、2006年5月1日施行された会社法の影響がある。会社法施行前の商法では、株式会社は取締役会と監査役の設置が義務付けられ、取締役は3名以上、監査役は1名以上が必要とされていた。任期は、取締役が2年、監査役4年。しかし、会社法の施行により株式会社の取締役の任期は、原則2年と変わらないものの、一定の要件を満たせば最長で10年続けられるようになった。そのため、小さな会社では、任期重任の際に登記をすることを失念していることも少ないほか、業績不振などの理由から経営が行き詰まり廃業や休業する会社等の中には解散等の登記をしないままほったらかしにしているケースも増えてしまったのだ。

そこで法務省では、長期間登記が行われていない株式会社や一般社団法人、一般財団法人について、現在も事業を行っているのか実態を確認し、今年12月10日を期限に「事業を廃止していない届出」を行わないと、みなし解散の登記を進める作業に入るとしている。

法務省は今回、株式会社については最後の登記をしてから12年を経過しているもの、一般社団法人または一般財団法人については、最後の登記をしてから5年を経過しているものを「休眠会社・休眠一般法人」と規定、実態確認を進めている。

休眠会社を悪事に利用するのは、休眠会社を買い取れば、法人を新設より費用が掛からないことも少なくなく、休眠会社が築いてきた信用や許認可等を引き継ぐことができるから。また、赤字を引きつぐことで、繰越欠損金による税金対策(節税対策)に利用できるほか、脱税や悪徳商法、詐欺や恐喝などの犯罪に使うために買収する“不逞な輩”もいる。たとえば、詐欺行為では数ヵ月ごとに休眠会社を変えて、大量の商品を持ち逃げする「取り込み詐欺」や、オレオレ詐欺などにも利用されている。特定非営利活動法人などにおいては、肩書で相手を信用させるための手口としても利用されている。

休眠会社等の整理は昭和49年から

法務省が休眠会社の整理を始めたのは昭和49年から(休眠一般法人は平成26年から実施)。当初は、法務局の職員が登記資料等を手作業で精査する必要があったことから、事務量や予算を考慮して概ね5年毎に行われていた、しかし、平成20年に登記のオンライン化が行われたことを受けて、平成26年以降は毎年実施されている。

これまでの整理作業状況は別表のとおり55万5817の休眠会社と4057の休眠一般法人がみなし解散とされ、この数年は年を追うごとにみなし解散数が増加していることがわかる。

*法務省の資料情報より

休眠会社等の整理作業

休眠会社等の整理作業の流れは、株式会社は最後の登記をしてから12年を経過しているもの、一般社団法人または一般財団法人については最後の登記をしてから5年を経過しているものについて、法務大臣による官報公告を行い、登記所から対象休眠会社等へ通知書が送付している。そして、公告から2カ月以内に役員変更等の登記または通知書に同封されている「業事を廃止していない旨の届出」を行えば、みなし解散を免れるが、これらを行わない場合には登記官が職権によりみなし解散の登記が行われる。

なお、「まだ業事を廃止していない」旨の届出については、登記所からの通知書を利用して所定の事項を記載の上、登記所に郵送又は持参するか、通知書を利用しない場合には書面に次の事項を記載し、登記所に提出済みの代表者印を押印して提出することになる。また、代理人によって届出をするときは、委任状を添付する必要がある。

【届出書に記載すべき事項】(会社法施行規則第139条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則第57条又は第65条)
⑴ 商号、本店並びに代表者の氏名及び住所(休眠会社の場合)
名称、主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所(休眠一般法人の場合)
⑵ 代理人によって届出をするときは、その氏名及び住所
⑶ まだ事業を廃止していない旨
⑷ 届出の年月日
⑸ 登記所の表示

ここで気をつけたいのは、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合でも、必要な登記申請を行わないと翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となり、同じことを再度しないといけなくなる。また、当然のことだが、書面に不備があると適式な届出として認められないことがあるので正確に記載する必要がある。

みなし解散されても復活の道も

公告から2カ月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出を行わず、また役員変更等の登記の申請を行わなかった休眠会社等は、その2カ月の期間の満了の時に解散したものとみなされて、期限翌日に登記官が職権で解散登記される。ただし、みなし解散の登記後3年以内に次の要件をクリアすれば会社等は存続できる。

具体的には、株式会社の場合は、株主総会の特別決議により株式会社を継続、一般社団法人又は一般財団法人の場合は、社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によって,法人を継続することが可能。もちろん、その際には2週間以内に継続の登記の申請が必要だ。

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著者: イーター侍

税金ライター/元税金専門誌編集者

四半世紀以上、税金専門誌の編集者として国税庁、国税局、税務署、会計事務所に出入りする。数年前に独立した後、編集者時代に築いた人脈をいかし、ネットワークビジネスを手がける。その傍ら、趣味と副業を兼ねて税務関係ニュースを追いかける“中年ライター”だ。

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