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IPO担当者必見!内部統制構築の奥義【第3回】非公式「 J-SOXチーム」を作るためのたった一つの方法

この連載では、IPOを目指すJ-SOX導入プロジェクトを担当される方々が、具体的にどのようなアクションをとればよいかを説明します。
IPOを目指す際に、最も苦労する作業といわれるJ-SOX導入。「J-SOX導入プロジェクト」を担当される実務家の方が「何をすれば良いのか」、「どのように進めれば良いのか」といった具体的なイメージを描けるよう、実際のゴールとなる「成果物」、「具体的なアクション」に焦点を当てて話を進めたいと思います。

はじめに

J-SOXプロジェクトは必要となる情報が全社に広がっているため、個人の力だけでは完成できません。全社プロジェクトの性質から、取締役等の役員だけでなく監査法人等の外部のメンバーを含み当事者が多いという特徴もあります。

今回はJ-SOX担当者がプロジェクトを推進するにあたって、プロジェクトをスムーズに進めるためのチーム作りの方法を記載します。

前提となる「関係者のニーズ」

J-SOX導入プロジェクトは社内、社外ともに説明、交渉が多く、コミュニケーション能力が高いレベルで求められることを前回説明しました。

J-SOX担当者は社内、社外ともに説明、交渉局面が多く、端的に「ポイント」を説明できる能力が求められます。

そのためには説明、交渉の相手が「何を気にしているのか」を抑えておくことが重要です。

換言すると、関与する関係者がそれぞれどのような役割を担っているかを理解していないと、「説明すべきポイント」が的外れになってしまいます。「この人の役割は○○だから、この論点を重点的に話そう」という視点がないと、「知りたいことはそういうことではない」、「そんなことはどうでもよい」、「この担当者はポイントを理解していない」と思われてしまいます。

そこで、コミュニケーションの前提となる「関係者のニーズ」を最初に説明したいと思います。

J-SOX導入プロジェクトにおいては取締役(経営者)、社内の職員、監査法人だけでなく監査役、証券会社、コンサルティングファーム等、組織内外多くのメンバーが関与します。その中でも、取締役(経営者)、監査役等、監査法人への説明は重要です。

主要3者が持つニーズは以下となります。

・取締役(経営者):

上場をスケジュール通りに果たしたい。J-SOX担当者に、必要となるJ-SOX対応を滞りなく進めて欲しい。

・監査役等:

取締役が適切な内部統制を構築しているか確認しなければならない。J-SOX担当者に、監査法人から重要な指摘のない内部統制を構築してほしい。

・監査法人:

適切な内部統制を整備、運用してほしい。J-SOX担当者に、J-SOX監査に耐えうる成果物の作成等を迅速に対応してほしい。

説明相手が潜在的に抱えている心配事、関心事を理解していれば、説明すべき内容も選定が容易となり、J-SOXという膨大な報告事項からも強調すべき情報のメリハリがつきます。

「お願い」から生まれる非公式の「J-SOXチーム」

J-SOX担当者にとって、多くの方は過去に経験のない業務なのではないでしょうか。誰でも自分自身が経験のない分野においては仕事に向かう姿勢が受け身になりがちになります。情報発信も保守的になりがちです。

ここで、プロジェクトを円滑に進めていくために、関係者へ説明する際のコツがあります。

それは説明の機会に、「現状の説明」、「論点の共有」、「検討している方向性の発信」だけで終わらせないことです。同時に「お願いすること」がないかを常に考えておくことです。

J-SOXプロジェクトは全社プロジェクトであるため、J-SOX担当者が個人で解決できない問題が多々発生します。「期限までにプロジェクトを完成させる」ためには多くの方から力を借りなければなりません。

個人で解決できない問題が生じたときは解決できる人を探し、いかに早く「お願いできるか」がポイントとなります。

つまり、関係者への説明に際しては、「現状の説明」、「論点の共有」、「検討している方向性の発信」だけでなく、「お願いすることはないか」を必ず考えてください。

「お願い」には、実際に問題解決の力をお借りするという効果だけでなく、J-SOXプロジェクトを一緒に進めているという「気持ちを共有」してもらえる効果があります。

この「お願い」から非公式の「J-SOXチーム」が生まれていきます。

J-SOXは一人で進めることはできません。一方、助けてくれる人がたくさんいます。多くの人から協力を得るためには「今、J-SOXプロジェクトを進めています」という事実を多くの人に知ってもらうことが第一段階です。

そのためには困っていることを抱えたままにせず、解決に向けた「お願い」をすることが大切です。

注意点としては、J-SOXプロジェクト初期段階における「お願い」は簡単なものに絞ることです。時間を要するもの、作業が発生するもの等は極力お願いしてはいけません。「面倒な話をされる」と思われてはチーム作りと逆効果だからです。

「知見のある人に取り次いでもらう」、「論点を解決できる人を紹介してもらう」等、あまり負担にならない容易に片付くものをお願いしてください。

報告、お願いは「タイミング」が重要

「現状の説明」、「論点の共有」、「検討している方向性の発信」、「お願い」、これらは内容に応じて、相手へ相談する「タイミング」が重要です。

J-SOXに対する温度感(危機感)は人それぞれです。話している相手のJ-SOXに対する「温度感(危機感)」がどの程度にあるかを常に判断しながら内容、表現を選定してください。

J-SOXプロジェクトを経験したことのある人は極めて少数です。最初から温度感(危機感)が高い水準にあることは稀です。まだ温度感(危機感)の低い方への説明に際しては、その温度感(危機感)に対応した内容、表現を選定しないと、「どこか現実味のない話」と整理されてしまいますので気を付けなければいけません。

まとめ

J-SOXプロジェクトは一人で完結することはできません。プロジェクトを一緒に推進してくれる「チーム」が必要です。

関係者の各々の役割と責任を踏まえたうえで、社内、社外問わず「お願い」から「すべてを一つにチームにしてしまう」、そんな気持ちで進めてみてください。


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著者: 坂林 弘文

公認会計士、税理士 日本公認会計士協会東京会・税務第一委員会・元副委員長

慶應義塾大学経済学部卒業。金融機関、外資系コンサルティングファーム、新日本有限責任監査法人金融部(公的機関出向経験あり)を経て坂林公認会計士事務所を設立。上場会社、上場準備会社等への内部統制構築支援業務(J-SOX支援業務)を実施。

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