2020年のお歳暮商戦がスタートした。今年は新型コロナウイルス感染拡大のため、取引先への接待や直接会う機会も減ったことから、年末のお礼や挨拶としてお歳暮をしっかりと送りたいところ。会社なら、お歳暮を送ったらすべて経費と考えがちだが、経費処理するためにはいくつかの条件がある。
会社が取引先などに贈るお歳暮は、どういった経費として処理すればよいのか?
会社で支出するお歳暮にかかる費用は、運送代を含め原則「交際費」として取り扱う。税務上の交際費は、「得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対し、接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用」のことで、会社の規模により一定額以上、もしくはすべて損金算入することはできない。
要は税法上の交際費とは、「仕事上の付き合いのある人に対するおもてなし」に関する支出と理解すればよい。
具体的には、
- 飲食店での飲食
- 観劇への招待
- お中元/お歳暮
- 結婚祝い金
- 香典
など、さまざまな支出を交際費として処理することができる。
交際費を損金算入できる額は、企業規模で異なる。
1.資本金1億円以下の法人(中小企業向け)・・・以下の(A)(B)のどちらかを選択
- 交際費等の額が800万円((事業年度の月数が12に満たない場合は月割り)まで全額損金算入
- 交際費等のうち接待飲食費の50%まで損金算入
*ただし、資本金や出資金の額が5億円以上の法人(相互会社等を含む)の100%子法人には、中小企業向け特例措置)は適用されない。
- 資本金1億円超100億円以下の法人
上記の1-(B)交際費等のうち接待飲食費の50%まで損金算入
- 資本金100億円超の法人 ・・・適用なし
交際費というと、最近は企業規模を問わず「5千円」基準があり、この範囲なら損金処理ができると考えている人も少なくない。というのも、平成18年度税制改正で、一人当たり5千円以内なら、一定条件をクリアしていれば交際費であっても経費で落とせるためだ。取引先との打ち合わせなどで経理から「1人5千円以内でお願いしますね」とクギを刺されるのも、損金処理ができるか否かに関わってくるからだ。
確かに、5千円基準をクリアしていれば、資本金100億円超の大企業であっても交際費を損金処理できる。しかし、これはあくまで「飲食費」に限っての話。つまり、お歳暮はあくまで「おくりもの(贈答)」。つまり、飲食ではないから、税務上はその金額に関係なく5千円基準の対象外となり、単純に交際費処理をしなければならない。