厚生労働省は10月15日、家賃の支払いに困っている人に対して公費で補助する「住居確保給付金」の申請が、4~8月で計約10万9千件に上ることを明らかにした。このうち支給が決まったのは約88%に当たる約9万6千件となっている。「住居確保給付金」とはどのような制度なのだろうか。

新型コロナウイルスの影響で経済的に困窮し、家賃が支払えず、住まいを失ったり、失いかけたりする人が急増していることが分かった。

厚生労働省によると、家賃相当額(上限あり)を自治体が支給する「住居確保給付金」の申請が今年4月~8月で約10万9千件に上るとしている。

全国の支給決定件数は、今年4月には3393件だったが、5月から急増し2万6591件、6月は3万5241件、7月には2万554件となっている。

これは昨年度1年分の約30倍で、リーマンショックの後の平成22年度1年分(3万7151件)と比べても、約3倍近くと、過去最大だ。

拡充された「住居確保給付金」の申請方法

住居確保給付金は離職した人が対象だったが、新型コロナの感染拡大を受け、厚労省が今年4月から要件が緩和された。

従来は離職、廃業後2年以内の者だけが対象だったが、改正により「給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由・当該個人の都合によらないで減少し、離職や廃業と同程度の状況にある者」という条文が加わった。これにより、新型コロナウイルスの影響で廃業はしていなくても収入が減ってしまった人で、他の要件も満たしていれば、支給の対象となった。また、ハローワークへの求職申し込みも不要になった。