JSOX「導入後」は「導入時」よりも楽になるか
JSOX「導入後」は「導入時」よりも作業工数、精神面の負担も含めて「楽」になります。ただし、新規上場会社の場合、大幅に「楽」にはなりません。
JSOX制度が開始された当初、大企業においては「JSOXは一度導入してしまえば、あとは定型化された業務」という考え方が多い印象でした。一方、新規上場会社にとってJSOXは毎年更新箇所が多く、導入後も相応の負担が継続する業務と考えておいた方が良いと思います。
その理由は新規上場会社の場合、事業変化の範囲が広範、かつスピードが早いからです。
JSOXは新しい事業の開始、新しいシステムの導入等の影響を大きく受けます。
大企業においては既存事業の規模が大きく、新規事業が始まったとしても成長初期段階では相対的に事業規模が小さいため、重要性の観点から突然JSOXの範囲に入ってくるというケースは稀です。
一方、新規上場会社等の勢いのある会社は新しい事業が爆発的に成長するケースも珍しくないため、新規事業が突然JSOX対象に含まれてくるケースも往々にしてあります。
システムの変更も同様です。大企業においては既存システムからのリプレイスは大きなプロジェクトになるため頻繁に実施されることはありませんが、新規上場会社の場合は、フットワークの軽さ、システムインフラ自体を現在は不十分と考えている前提もあり、良いものがあれば躊躇なく変更、導入する傾向があります。
結果、新規上場会社についてはJSOX導入後のメンテナンスもJSOX導入時に近い、相応の工数となることが一般的です。
大企業JSOXと新規上場会社JSOXの対応方法の違い
JSOXにおいて監査法人からOKをもらう必要がある点は大規模企業であっても、新規上場会社であっても同じです。ただし、大規模企業のJSOXの進め方と新規上場会社のJSOXの進め方は異なります。
内部統制の変更は「影響を受ける当事者の人数」の考慮が非常に重要です。例えば、「日次の現金管理の内部統制を変更する」というプロジェクトを進める場合に、全国500店舗の業務フローに影響する会社と本社の経理部にしか影響がない会社では作業工数が大きく異なります。
JSOXでは1件のエラーが生じても対応工数が大幅に増加するため、基本的に統制エラーは許容されません。仮に500店舗に1店舗の逸脱もなく新しい統制を実施してもらうためには十分な情報伝達と準備期間が必要となります。業務フローの変更は慎重に判断される結果、大規模企業では、「新規統制導入は来期からにしよう」という判断が行われます。
一方、新規上場会社では、新規事業、新しい業務フローの導入等、JSOXがあるからといってスピードを落としていくような意思決定は通常されません。逆にJSOXを事業スピードに合わせていく対応が必要となります。
このように新規上場会社ではJSOX導入後もJSOX対応工数が相応のボリュームで継続するため「導入したらあとは定型業務」の状態にはならず気の抜けない状況が継続します。



