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マルサ 「マルチ商法」や「投資詐欺」もターゲットに

女性査察官と脱税者の戦いをユーモアも交えて映画にした、伊丹十三監督の「マルサの女」が公開されて、来年で早30年。映画をきっかけに国税査察官(通称マルサ)の存在が一気に知られるようになり、脱税者がマルサの動きに戦々恐々となった。しかし、脱税者は時代の流れとともに、新しい手法を取り入れ、依然として後を絶たない。国税庁がこのほど公表した平成27年度査察白書でも把握された脱税総額は138.4億円に及んでいる。

着手初日に258 カ所・延べ635人で調査

昨年4月から1年間に着手した査察調査件数は189件(前年194件)、前年度からの継続事案を含めて検察庁への告発の可否を決定した処理件数は181件(同180件)で、脱税総額(加算税含む)は138億4100万円(前年149億7500万円)だった。着手件数は、昭和60年度(255件)をピークに徐々に減り始め、リーマン・ショックによる景気低迷後の平成22年度以降は200件を割り続けている。これに伴い、処理件数及び脱税総額も多少波はあるものの減少傾向となっており、脱税総額は平成に入り最低となっている。(「告発・着手・処理件数」グラフ参照)

また、査察調査の着手日における平均調査人員及び調査場所数をみると、49カ所を延べ155名で調査をしているが、調査範囲が広域だったり、脱税額が大口となれば、それだけ人員を割く必要があり、今回も258 カ所を延べ635人動員し、調査を展開した事案もあった。

告発・着手・処理件数

検察庁への告発率は63.5%

査察調査が行われた事案すべてが、検察庁へ告発されるわけではなく、刑事責任の追及を行う必要のある“脱税額が多額”のケースや“手口が悪質のケース”が対象となる。27年度は、処理した181件のうち告発されたのは115件(同112件)で、告発率は63.5%(同62.2%)と3件に2件弱。これまでの告発率をみると、平成22年度までは70%を超える年も多かったが、23年度以降は5年連続して6割台が続いている。

なお、査察調査に着手してから告発までの調査期間の平均は9カ月だが、最も長かった事案では、着手してから2年2カ月を要しており、1件当たりの期間が伸びれば伸びるほど、着手件数及び処理件数の減少に繋がる。

告発した115件の脱税総額は112億400万円(同123億4600万円)で件数は増えたものの、脱税総額は減っている。これは、大口事案の減少によるもので、平成23、24年度では脱税額が3億円以上の事案が二桁発生していたが、ここ数年は5件前後で推移しており、27年度も5件(うち5億円以上1件)と事案の小口化傾向が続いている。なお、27年度の最多脱税額事案は、個人(所得税)が約7億3千万円、法人(法人税)が約4億7千万円。

告発分を税目別に件数と脱税額みると、所得税25件・30億9200万円、法人税事案69件・56億 8700万円、源泉所得税4件・2億8600万円、相続税6件・10億9000 万円、消費税12件・10億4900万円となっており、ここ数年力を入れている消費税では、不正受還付事案(ほ脱犯との併合事案含む)が6件・6億9900万円)含まれている。

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