■○×で考える「これは医療費になる?ならない?」
ここから医療費になるかどうかを、一つ一つ考えてみましょう。
- ●歯科医院での支出
次のような支出は、判断で迷いがちです。
1.子供の歯列矯正:〇
発育段階にある子どもの歯並びをよくすることは「子どもの体の構造や機能の欠陥を是正するため=治療」にあたります。なので医療費控除の対象です。
2.大人の歯列矯正:美容のためは☓、日常生活に支障があるなら〇
大人の歯列矯正は目的によって判断が分かれます。歯の成長は一般的に20歳くらいで止まるからです。そのため大人の歯列矯正は必ず医療費控除できるとは言えません。
特に日常生活に困っておらず、見た目をきれいにしたいだけなら医療費にはなりません。逆に、歯並びの悪さが日常生活に支障が出るレベルなら治療に該当し、医療費控除の対象になります。
3.自由診療となる金歯やセラミックの歯:〇
虫歯治療でよく登場するのが「詰め物」です。レジンや合金は保険診療の対象なので安上がりで済みます。ただ、劣化しやすいのが難点です。一方、金やセラミックならば変形しにくく2度目、3度目の虫歯を防ぎやすくなります。しかし保険が効かないので、数十万円になりがちです。
金やセラミックといった高い素材による詰め物も「治療」である事実は変わりません。なので自由診療で高くても、医療費控除の対象です。ただし高額ならいくらでも控除できるわけではありません。医療費控除額の限度は200万円となっています。
- ●介護に関係する支出
介護に関する支出は、大部分が医療費の対象になります。ただし全部ではありません。看護や医学的な療養上の世話に当たる部分のみです。
実際には、「家事か、医療費か」の区別をつけるべく医師の処方や市区町村への証明が求められます。また、税法で範囲が決められていたりもします。
1.6か月以上寝たきりの人のおむつ代:条件付きで〇
大人・子供関係なく、おむつなどの衛生用品は基本的に医療費控除の対象外です。しかし、半年以上寝たきりで医療を受けている人のおむつ代は控除対象となります。ただし、医師の発行した「おむつ証明書」の添付・提示が必要です。
2.特養老人ホーム入所者の施設サービス費用:1/2が〇
特養老人ホームでの世話は療養上のものと生活上のものとがあります。この区別をつけるのが難しいので、介護費・食費・居住費の1/2が医療費控除の対象になります。