令和2年度(令和3年)の所得税確定申告が2月15日から始まった。今年もコロナ禍の影響で申告期限が1カ月延長されたが、正しい申告をしないと税務当局は厳しく申告内容をチェックしている。税務当局は、確定申告書の何処に目を光らせているのだろうか。

令和2年度の所得税の確定申告は、「給与所得控除」「基礎控除」「扶養親族等の範囲」「所得金額調整控除」「青色申告特別控除」など、所得控除についての変更点が多かったことから、各種控除の適用に当たっては十分に注意したいところ。税務署が行う税務調査は、提出された確定申告書に不審な点や、各種資料情報等から脱税等の不正があると見込まれた場合に行う。

それでは、提出された確定申告書の何処をチェックし、どのような事業者が税務調査のターゲットになりやすいのだろうか。

国税OB税理士によれば、「税務署では、基本的に確定申告書(第一表)については、計算誤りのあるものを除き、ほとんどチェックしていない」という。

所得税調査の選定で厳しくチェックするのは、青色申告決算書(収支内訳書)。売上が急増しているのに納税額が増えていない人、または特定の経費が急に膨らんだ人などは申告内容を細かく確認する。特に「収入」と「経費」を構成しているお金の“入り”と“出”について、過去の申告状況、資料情報等と突合し調べ上げる。

そのため、納税者サイドとしては、調査官の目線に立って青色申告決算書を作成することが肝要だ。

国税OB税理士によれば、売上関係のチェックポイントとして、

1、現金売上や掛け売上、あるいは単発取引に係る売上等の計上漏れはないか。

2、リベート、バックマージン等の雑収入計上漏れはないか。家族名義等の預金口座等に入金されていないかも厳しくチェック。

3、家事関連費に関する計上の誤り。

などを確認する。