確定申告シーズンを目前に、「ギャラ飲み」の女性が納税義務を怠っている可能性があるとして、国税当局が税務調査に入る可能性を示唆する記事がマスコミ報道された。時期的に考えて、国税当局は意図的にマスコミに記事を流したのかもしれないが、これでどれだけの「ギャラ飲み」した女性が申告するのだろうか。国税当局は一罰百戒を狙ってそのうち、無申告の「ギャラ飲み」女子の調査案件をマスコミに流すのかもしれない……。

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筆者が「ギャラ飲み」というものを知ったのはかなり昔の話だ。「ギャラ飲み」は、飲み会の主催者が参加者に対して謝礼金を支払い、参加者はギャラ(謝礼金)をもらえる仕組み。昔は、モデルやアイドルの小遣い稼ぎやコネクション作りのために、芸能関係者を通じて、オーナー社長や有名芸能人が主催するパーティに女性が派遣された。VIP対応の仕事なので報酬はかなり貰え、呼ぶ側の芸能人や社長なども、参加する女性は信頼できるコミュニティーからの紹介なので安心して遊べる。そのうち、参加する女性達は、学生や昼間は会社員として働く人にも波及した。今や、SNSなどの普及により、芸能人や社長でなくてもニーズは高まり、仲介業者もかなり出てきている。
こうした「ギャラ飲み」ビジネスが発達するなか、国税当局が「ギャラ飲み」マッチングサービス運営会社の税務調査を実施。運営会社とキャストとの間に雇用関係はないため、運営会社はキャストに支払った報酬を経費計上している一方で、キャストの女性らは税務申告した形跡が一切ない。キャストの女性の中には月に数百万円の報酬を得ている者もいるという。
そのため、国税当局は、無申告の可能性のあるキャストに対しても調査の手を伸ばしている。
昔の「ギャラ飲み」女子は、ひとりで商売をしているケースが多く、報酬はほぼ現金払い。
そのため月に数百万円稼いでも、国税当局は実態の把握が困難だった。ところが、市場が大きくなって運営が個人から組織へと変わり、国税当局も税務調査がしやすくなった。
「ギャラ飲み」女子の多くは20歳代で、いままでアルバイトという就業形態しか経験したことがないため、「自分から納税する」という意識がほとんどない。