中小企業にとっては、事業承継の一つの選択肢にもなっているM&A(合併・統合)だが、コロナ禍の2020年は、東京都などの都市部を中心に行われたことが分かった。企業数が多いことが一番の理由だが、企業の成長戦略を描く“買い手”側が都市部に集中していることも大きな要因と思われる。昨年は、廃業を選択する企業が多かったともいわれ、今後、M&Aニーズは更に高まることが予想される。企業の新陳代謝は、都市集中型で進みそうだ。

2020年のM&A件数を都道府県別に見ると、1位が東京都の676件で、2位が大阪府の113件、3位が愛知県の60件(図表参考)と、大都市圏を中心に展開されていることが分かった。東京都に関しては、2位の大阪府を6倍近く引き離している。

この調査は、上場企業に義務づけられた適時開示情報にもとに経営権が異動するM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介大手のストライク(東京・千代田区、代表取締役社長=荒井邦彦氏)が集計したもの。

M&A件数のカウントの仕方は、都道府県別に買い手、売り手、対象(子会社化や事業取得などのターゲット)のいずれかの立場でM&Aにかかわった件数をカウント。たとえば、大阪府のA社(買い手)が東京都に本社を置くB社(売り手)の茨城県にある子会社C社(対象)を買収したケースでは、大阪府、東京都、茨城県がそれぞれ1件。逆に同じ県内ですべてが完結する場合は当該県の1件のみという計算になる。