〇業態転換

製品の製造方法やサービスの提供方法を相当程度変更することをいいます。

業態転換に該当するには、次の要件が示されています。

  • ①製造方法等の新規性要件
  • ②製品の新規性要件または設備撤去又はデジタル活用要件
  • ③売上高10%要件

それぞれの詳しい要件は次のようになっています。

  • ①製造方法等の新規性要件

製造方法等の新規性要件を満たすには、次の4つを満たす必要があり、これらを事業計画の中で示します。製品等の新規要件が、製造方法に置き換わった要件になっています。

  • (1)過去に同じ方法で製造等した実績がないこと
  • (2)新たな製造方法に用いる主要な設備を変更すること
  • (3)競合他社の多くが既に用いている製造方法等ではないこと
  • (4)定量的に性能又は効能が異なること(製造方法の性能や効能が計測できる場合)

②製品の新規性要件または設備撤去又はデジタル活用要件

製造業では「製品の新規性要件」が求められ、製造業以外は「設備撤去又はデジタル活用要件」が求められます。

製品の新規性要件は、新分野展開と同様です。

設備撤去又はデジタル活用要件は、既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うもの又は非対面化、無人化・省人化、自動化等に資するデジタル技術の活用を伴うものとされています。

これについて、汎用性のあるデジタル機器やソフトを利用する場合には要件を満たさず、例えば効率化のためにこれらを事業の内容に合わせてカスタマイズする、専用品を導入するなどの工夫が必要とされています。例えば、衣服店がECサイトでの販売を始めるにあたって、ECサイトを構築するだけでは不十分であり、電子タグを用いた在庫管理の最適化を行うような取組みも行うなどが考えられます。

  • ③売上高10%要件

3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の製造方法等による売上高が、総売上高の10%以上を占める計画を策定する。

手引きには、業態転換として次の例が挙げられています。

・製造業の例

健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ、生産性を向上させることを目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進めるとともに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造し、新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定する。

・サービス業の例

ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく、店舗での営業を縮小し、オンライン専用のヨガ教室を新たに開始し、オンライン専用のヨガ教室の売上高が、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画を策定する。

〇事業再編

会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うことをいいます。

該当するケースが少ないと思われますので、詳細は割愛いたします。