■中小企業の経営資源集約化に関する税制の創設

上記の他、M&Aで規模を拡大した中小企業への優遇税制も設けられました。

  • ●内容

中小企業等経営力強化法の認定を受けた中小企業がM&Aで他社の株式等を購入すると、その7割を損金に計上できるというものです。けれど、何もなしで損金計上できるわけではありません。次のような条件があります。

【対象となる中小企業の条件】

  • ・青色申告書を提出する中小企業者であること
  • ・令和6年(2024年)3月31日までに中小企業等経営力強化法の経営力向上計画の認定を受けていること

【行為の条件】

  • ・上記計画に基づいて他社の株式等を購入で取得していること
  • ・上記株式等を取得事業年度終了日までずっと保有していること
  • ・取得した株式等の価格下落に備えるべく、最大「株式の取得価額×70%」を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てること

中小企業のM&Aには、簿外債務や偶発債務といったリスクが伴います。こういった潜在的なリスクが顕在化すると、会社の株式の価値は著しく下がります。これに備えて「株式等の取得価額×70%」まで準備金を積み立てたら、積立分を損金計上してよいという制度です。

  • ●注意点

この制度にも次のような注意点があります。

1つ目が「課税の繰り延べでしかない」という点です。取得した株式の全部または一部を保有しなくなったり、あるいは簿外債務の発覚などがあったりしたら準備金を取り崩し、益金に算入しなくてはなりません。こういった行為がなかったとしても、5年経過したら5年で均等に取り崩して益金に算入することになります。

【参考】令和3年度(2021年度) 経済産業関係 税制改正について(経済産業省)

2つ目が取得の形態が「購入」に限られるという点です。また、株式の取得対価は10億円以下でなくてはなりません。

この制度は「買収側の企業の意欲を促進する」と言われています。しかし反面、明確になっていない点も多々あります。株式交換や第三者割当増資が購入に含まれるかどうか、明らかになっていません。取得すべき株数の要件も不明です。

この制度の適用自体、産競法の一部改正を前提としています。そのため、令和3年4月現在、すぐに活用できるものでもありません。実際の運用が可能となったら、一つひとつを確認した上で進める必要があります。