● 「なくせないか?」(E)は抵抗を生む
「なくせないか?」(E)から考えると言いましたが、私の経験上、「なくせないか?」の問いに対しては抵抗感を示す人が多いです。それはそうでしょう。今までやっていた業務を「ムダで意味がない仕事」と切り捨てることと同義です。しかも新入職員に言われるわけです。素直に受け入れる方が無理というものでしょう。なので、そういったときは聞き方を変えることにしています。
「この業務がなくなったら、何が起こりますか?」
これです。今やっている業務を尊重しつつ、本質を見極める問いかけ。いかがでしょうか。すべてがムダな作業ということはほとんどありません。しかし、Aさんがやっていることと、Bさんがやっていることが重複していたり似ていたりすることは意外とあります。
そう、それがわかったら、「C:一つにまとめられないか?」の出番です。
「なるほど、それであればBさんのやっている仕事に一工夫すれば、Aさんの仕事とまとめられたりしませんか?」
こうやって、2人がやっていた2つの仕事を1つにまとめるわけです。その過程で、重複していた部分を削減することができます。Aさんにとってみたら業務の廃止ではなく移管というイメージが強く、これまでの仕事を尊重しつつカイゼンを進めることができます。だれも傷つけないように落としどころを探す、周りに気遣いしまくる新入社員でも踏み込めるフレーズなのではないかと思っています♪
● R(順番や場所を入れ替えられないか)って具体的には?
Rでいう「順番や場所の入れ替え」は、作業や加工の”工程”の入れ替えのことです。事務系職場では、”工程”という言葉は耳慣れないかもしれませんが、それは工程を見える化していないからだと思います。製造業でよく用いるフローチャート(工程表)と要素作業票を用いて整理してみましょう。
例えば、電子申告作業(e-Tax)について書いてみるとこんな感じです。


クライアントの確認印の押された紙の「申告書(控)」と「電子申告データ」、さらに所内で用いている「最終チェックリスト」の3つが揃ったところで、①数値チェックを行い、②電子申告のデータ送信、という流れです。それぞれの段階において要素作業票に記載したさらに細かな作業があります。
このフローチャートはとてもシンプルですが、わざわざ書くところに意味があります。①「数値チェック」と②「データ送信」という2つの作業があることを意識するためです。一人の作業が一連の作業を行っているとこういったところに意外と気づきにくかったりします。
そして、順番や場所を入れ替えられないか、を考えます。例えば、一連の電子申告作業を一人の作業者が行っている場合、①②を分業して作業の流れを変えます。①「数値チェック係」はひたすら数値チェックだけを、②「データ送信係」はひたすらデータ送信だけを行う、といった具合です。
一見、何の意味もないように思えますが、分業して作業を小分けにすることで手元に用意する書類やシステム画面操作がシンプルなルーチン作業になって、精度もスピードも上がります。特に大量の電子申告がある月(例えば個人の確定申告など)では効果を発揮します。ある人にだけ残業が集中してしまう、というようなケースにおいては負荷平準化という視点でも有効です。
フローチャートは作業の整理にとても便利なので業務の全体を把握したいときなどはぜひ活用してみてください。
ちなみに余談ですが、こういったフローチャートでの整理はRPAへの置き換えも想定しています。数値チェックは紙の書類がある現時点では代替しがたい作業ですが、データ送信だけならRPAでの自動化もできそうですね。



