この連載では、IPOを目指すJ-SOX導入プロジェクトを担当される方々が、具体的にどのようなアクションをとればよいかを説明します。IPOを目指す際に、最も苦労する作業といわれるJ-SOX導入。「J-SOX導入プロジェクト」を担当される実務家の方が「何をすれば良いのか」、「どのように進めれば良いのか」といった具体的なイメージを描けるよう、実際のゴールとなる「成果物」、「具体的なアクション」に焦点を当てて話を進めたいと思います。

はじめに

今回はJSOX導入とIT化について記載したいと思います。これまでJSOX対応における毎年の作業の膨大さ、難しさを記載してきましたが、今回は、JSOX対応工数をIT化によって削減する方法と注意点を記載したいと思います。

JSOX対応における「工数」の分析

これまでJSOX導入における難しさは「全社に関係者が散在すること」、「統制変更のリアルタイムでの把握が難しいこと」、「ヒューマンエラーが発生すること(担当者変更により統制が実施されなくなっていた)」等を記載してきました。

換言するとJSOX対応において、年間の作業工数が増加するポイントは「人の手」による統制(マニュアル統制)の存在にあります。よって、マニュアル統制がシステム統制に切り替わる、もしくはマニュアル統制ではあるが、ワークフローシステムの導入によりヒューマンエラーの生じないシステム化対応(IT化)はJSOXの作業工数を削減するうえで大きな効果を発揮します。