■配当所得・譲渡所得の計算方法
配当所得と譲渡所得の計算の流れは次の通りです。
- 1.譲渡所得を計算するための資本等の金額(売却収入とみなされる金額)を計算する
- 2.払い戻された出資分(取得価額)を計算する
- 3.売却益とみなされる部分(譲渡所得)を計算する
次の例で考えてみましょう。
【例】日本郵政からの配当金計算書に次のように書いてある場合
※今回の日本郵政の純資産減少割合は0.017です。
※日本郵政の株式を1株当り1,400円で購入していたとします。
1.譲渡所得を計算するための資本等の金額(売却収入とみなされる金額)を計算する
5,000円(配当金額)-1,985円(みなし配当金額)=3,015円(売却収入とみなされる金額)
2.払い戻された出資分(取得価額)を計算する
1,400円(当初の株式の取得価額)×100株×0.017(純資産減少割合)=2,380円(払い戻された出資分)
3.売却益とみなされる部分(譲渡所得)を計算する
3,015円(売却収入とみなされる金額)-2,380円(払い戻された出資分)=635円
ここでは配当所得1,985円と譲渡所得635円に所得税・住民税がかかるわけです。なお、課税の計算式は、通常の配当金や売買益と同じです。
【参考】2021年版確定申告 株式の配当金って確定申告した方がいいの?
■資本剰余金の払戻で取得価額も変わる
資本剰余金からの配当が行われると、手元の株式の取得価額も変わります。保有株数は変わらなくても、払い戻した分だけ純資産額が小さくなるのです。これを「取得価額の調整」といいます。
先ほどの例でいうと、手元にある日本郵政の株式100株は、今回の資本剰余金からの配当で0.017の純資産減少割合分、取得価額が下がります。したがって調整後の株式の取得価額は「1400円×100株-1400円×100株×0.017=137,620円」となります。