(4)内部収益率法
もう一つ、投資案件評価の際によく用いられる内部収益率法(IRR=Internal Rate of Return)を用いて分析します。IRRとは「投資による将来キャッシュフローの現在価値合計と投資額合計が等しくなる場合の割引率、つまりNPVがゼロになる割引率」ですが、ここではおおまかに「時間価値を考慮した利回り」と捉えていきます。IRRは下記の数式により表されますが、エクセル等にて簡単に算出できます。

* 引用:ウィキペディア
各資格のIRRをまとめたのが下記の表です。

内部収益率は時間価値を加味した利回りを表し、数値が高いほど評価も高くなります。
1位は会計士で44%となっており、比較的低コストで高収入を得られる点、そして早い段階で収入を得られる点がIRRの高さにつながっています。2位司法書士は30%であり、こちらも比較的高収入かつ早期のリターンがポイントとなっています。3位弁護士は高収入なものの、コスト面の高さと資格取得まで時間がかかることがマイナスとなっているようです。
中位以降だと、4位行政書士は収入面、5位税理士はコストと資格取得までの期間、そして6位社労士も収入面がネックとなっています。
医師については、超過収入ベースの生涯収入は税引後で1億8千万円と最も大きいものの、IRRは10 % と低評価となっています。これは収入を得るのが遅いことに加え、やはりコストの高さがマイナス点となっています。
再度、上位のIRRを見てみます。会計士の44%、司法書士の30%という利回りは投資案件として悪い数値ではなく、むしろ資格取得後の安定性を考えるとかなり有望な投資先に思えます。3位の弁護士もIRRこそ上位2つには劣りますが、25%という数値は決して悪くはなく、かつNPVなどの絶対額では高い数値であることを踏まえると、こちらも経済的なメリットは大きいようです。
4位行政書士、5位税理士、6位社労士に関しては、IRRが1桁~10%台にとどまり、コストに対するリターンの効率性という点で上位とは差があります。また金額ベースのNPVで見ても4~5千万円のギャップがあることから、経済的な観点からはやや見劣りすると言えるかもしれません。
終わりに

6つの国家資格、そして医師資格について、資格を取得するためのコストと年収・生涯収入といったリターンに着目し、投資意思決定モデルを用いて分析しました。今回のように長期間のリターン分析では貨幣の時間価値の影響が大きいため、年収や生涯収入の大きさが必ずしも経済的価値の大きさにつながる訳ではなく、初期投資額、収入を得るまでの期間等も重要な要素となります。また経済的なリターンとしては年収や生涯収入に加え、そのイベントにより得られる超過収入にもフォーカスすべきであると言えます。
資格取得のみならず、新卒での就職や転職などに際しても、今回の分析や上記の観点が参考になりましたら幸いです。
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