■所得税
所得税にも災害時の救済措置があります。主なものとして知られるのが「災害による所得税の軽減免除(災害減免法)」「雑損控除」です。この2つは事業用資産以外の生活資産が被災したときに受けられます。他、事業主向けに予定納税の減額や源泉所得税の徴収の猶予があります。
- ●災害による所得税の軽減免除(災害減免法)
「災害のあった年の所得金額の合計額が1千万円以下の人」限定です。住宅や家財への損害が財産の時価の半分以上だと、所得税が軽減されます。どれくらい軽減されるかは、所得金額の合計額によって変わります。
【引用元】No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除(国税庁)
手続は、被害の状況や損害金額を確定申告書等に記載すれば十分です。ただし、一度使うと2年目以降は軽減や免除を受けられません。後述する雑損控除との併用もできません。
- ●雑損控除
雑損控除も災害で住宅や家財に損害を受けたときの救済措置です。ただ、先ほどの災害減免法と違い、自然災害だけでなく、火事や害虫、盗難や横領で被害を被ったときにも使えます。
また、所得金額や損失額といった条件は特にありません。被災して家や家財道具が損壊したら適用できます。
この雑損控除は所得控除の一つです。税額ではなく所得額から損害額の一部を差し引きます。所得から差し引く金額は、次のうち多い方の金額です。
【引用元】No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)(国税庁)
ここでいう「災害関連支出」とは、台風や地震で損壊した家や家財の取壊しや撤去費用などをいいます。
損失額が多すぎて1年では引き切れないときは、翌年以降3年間繰り越し、それぞれの年の所得額から差し引けます。
手続は、災害減免法と同じく確定申告書への記載で済みます。ただし、記載だけでなく、支出の内容を示す領収書などの提示あるいは添付が必要です。
- ●予定納税の減額
個人事業主の予定納税も、災害時は減額できます。ただし、自ら申請しなくてはなりません。また、適用するのが所得税法か災害減免法かで、対象となる期間や申請期限が異なります。
さらに、所得税法には所得額や被災額による条件はありませんが、災害減免法は先ほどの申告所得税の軽減措置と同じく、「所得額1千万円以下」「損害額が財産の時価の半分以上」といった制限があります。
【引用元】災害等にあったとき(国税庁)