2.争点

本件金員は、退職給与として、平成25年3月期の損金の額に算入されるか否か(他の争点は省略)。

3.原処分庁の主張

本件元代表者は、辞任後も継続して、毎月開催される経営会議及びその他に出席し、本件法人グループの各代表取締役らに対し、経営に係る報告を求め、当該報告に対し、今後の指示をしていた、また、金融機関に対し、新規融資の交渉・最終的判断をしていた、さらに、本件法人グループの太陽光発電事業に係る新規事業に係る決定等をしていた等の事実に鑑みると、従来どおり請求人の経営に従事しており、請求人のみなし役員に該当するのであって、請求人を現実に離脱し、あるいは実質的に退職したとは認められない。

4.審判所の判断

(1)法令解釈

法人税法第2条第15号が取締役等の法的な地位を有していない者でも「法人の経営に従事している者」を法人の役員に含めた趣旨は、取締役等と同様に法人の事業運営上の重要事項に参画することによって法人が行う利益の処分等に対し影響力を有する者も同法上は役員とするところにあり、「法人の経営に従事している」とは、法人の事業運営上の重要事項に参画していることをいうと解される。

(2)検討

本件元代表者は、辞任後も経営会議に出席し、経営に係る報告を求め、今後の指示をしていたという原処分庁の主張は、本件法人グループの総務・経理事務を担当しており同グループに属するP社の代表取締役であったVの申述(本件申述)に沿う内容のものであったが、Vは、本件申述当時、P社、U社及び本件元代表者との間で各種係争中[1]であったため、本件申述の信用性については、慎重に検討する必要があるところ、本件元代表者が、本件辞任後に、経営会議において、請求人の経営方針・予算・人事等の事業運営上の重要事項につき、具体的な指示や経営に関する決定をしたこと及びその内容や方法を示す客観的証拠はなく、本件申述においても、いつどのような内容の指示や決定を行ったかという具体的な状況については明らかとはいえない。

また、本件元代表者が、本件法人グループに属する各法人間の資金移動に係る指示をしていたとする証拠として原処分庁が提出した資料[2]は、本件法人グループのいずれの法人の業務に係るやりとりなのか不明なものが多くみられ、上記の指示等が請求人の事業運営上の重要事項に係る指示かは不明であるところ、本件辞任の翌日(平成24年12月1日)から同資料が示す事象の開始日の前日(平成26年9月29日)までの期間において、本件元代表者が 請求人の業務に関して具体的な指示等をしたこと及びその内容や方法を示す客観的な証拠はない。

その他、請求人は、本件辞任の日から平成28年3月31日までの期間において、金融機関から新規融資を受けていないことから、本件元代表者が、辞任後も継続して、金融機関との間で具体的な交渉を行い、自ら最終的な判断をしていたと認めることはできない。さらに、請求人は、平成27年3月頃に太陽光発電設備を購入していると認められるところ、当該購入は、本件辞任から約2年4か月後のことであり、そもそも、本件辞任後間もない時期に、請求人が太陽光発電事業を新規に開始することを決定したとは認められず、本件元代表者が、本件辞任後に、請求人の事業運営上重要な新規事業を決定したことを認めるに足りる的確な証拠はない。

(3)小括

以上から、本件元代表者が、辞任後も継続して、請求人の事業運営上の重要事項に参画するみなし役員に該当し、請求人を実質的に退職していなかったと認めることはできない。


[1] Vは、本件申述当時、その地位等に関し、VがP社に対して提起した地位確認等請求訴訟や本件元代表者及びU社に対して提起した損害賠償請求訴訟並びに請求人やP社等から提起された損害賠償等請求訴訟がそれぞれ係属中であった。これには、Vが、本件法人グループに対して業務上横領等の不正を行っていたという請求人の主張が背景にあると思われる。

[2] 平成26年9月30日から平成29年2月15日の期間におけるVと本件元代表者との間の○○○○の画面を撮影した画像データを出力したものとされる。○○○○が何を指すかは不明。