2.争点

請求人の本件各年分の所得税等の額の計算上、本件適用除外規定が適用されるか。

3.請求人の主張

G6社は、請求人及び請求人の実弟が株主となっているから、「一の者により発行済株式等の全部を直接又は間接に保有している」という要件を満たす上、G8 社の経営一般の支援や、G7社の技術指導及び経営全般の実務指導をしているから、統括会社に該当する。そして、G6社は、所在地国において独立企業としての実体を備え、かつ、その業態に応じ、その地において事業活動を行うことに十分な経済的合理性があると認められる海外子会社であるので、海外子会社等に係る課税の適用除外となる。

4.審判所の判断

請求人は、G6社は、G8社の経営一般の支援や、G7社の技術指導及び経営全般の実務指導をしているから、「統括会社」に該当するとして本件適用除外規定が適用される旨主張する。しかしながら、「統括会社」に該当するためには、特定外国子会社等で当該特定外国子会社等に係る「二以上の被統括会社…に対して統括業務を行っている」ことが要件となり、この「被統括会社」に該当するためには、当該法人に対して統括業務を行う特定外国子会社等によって一定割合以上の数又は金額の株式及び一定割合の議決権を保有されていなければならない。そして、G8社については、その全株式をG6社が保有しているものの、G7社については、その全株式をG5社が保有しており、G6社が保有しているものではないから、G7社は、そもそもG6社の「被統括会社」には該当せず、その他、G6社が他の被統括会社に対して統括業務を行っていることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、G6社は、「二以上の被統括会社…に対して統括業務を行っている」とは認められないから、「統括会社」に該当しない。

また、請求人は、法人税法施行令4条1項を指摘して、G6社は、請求人及び請求人の実弟が株主となっているから、「一の者により発行済株式等の全部を直接又は間接に保有している」という「統括会社」の要件を満たす旨主張する。しかしながら、「統括会社」に該当するには、上記で指摘した要件のほか、「一の居住者」によってその発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている特定外国子会社等であることも必要であるところ、G6社は、その発行済株式を請求人及び実弟の2名によってG5社を通じて間接保有されているのであって、「一の居住者」によって株式を保有されているとはいえないから、この点においても「統括会社」に該当しない。

以上のとおり、G6社は「統括会社」に該当しないから、請求人の所得税等の額の計算上、本件適用除外規定を適用することはできない。