7.従業員教育の際に大切なスタンス

従業員教育の際に大切なスタンスは、3つあります。1つ目は、「従業員の視点」から教育することです。2つ目は、「手続きを教えない」ということです。3つ目は、経営者が「従業員がどのくらい理解しているか知っておく」ことです。

 

1つ目の「従業員の視点」について考えるとき、IPOの知識は経営者や株主、場合によっては公認会計士や証券会社など専門家視点で取りまとめられていることがほとんどです。しかし、そういった観点でまとめられた知識を学ぶのは過度な負担でしかないでしょう。量も多くて負担が多いことはもちろんのこと、専門用語が多くて従業員たちの日常と紐付かず、他人事にすら感じさせてしまう可能性があります。「従業員の視点」とは、従業員はすべての知識を学ぶ必要がないので必要な範囲に絞り、従業員の立場でメリット・デメリットを整理する必要があるということです。

 

2つ目の「手続きは教えない」は、同時に体系化した全体像や必要性の前提条件を教えることを意味します。一従業員には不要のように思われるかもしれません。体系化した全体像を理解することは、そもそもの会社としての在り方や役割分担を把握することに繋がり「自分だけが苦労させられているのではないか」と感じてしまう可能性を低くすることが出来るのです。これは理不尽に感じることを防止する上で大きな役割を果たすと言えるでしょう。そして、必要性の前提条件を教えることは、会社の方針やスタンスを従業員に周知することにも繋がります。正直なところ、ミスマッチな社員は出て行ってしまうかもしれませんが、従業員から本質的なコミットメントを得ることに繋がり組織が強くなります。IPOは一丸となって取り組む必要があり、困難を共に乗り越えないといけないこともあります。そういった際に特に価値を発揮するでしょう。

 

3つ目の「従業員がどのくらい理解しているか知っておく」は、経営者としてのリスク管理です。IPOを目指す会社は組織が急成長している会社がほとんどです。元々は意思疎通できていた関係ですら実は共通認識に乖離が生じていたり、コミュニケーションをろくにとれていない者同士が増えてきたりするのです。仮に亀裂が生じ始めていたら、強引な仕組み化を進めることは、その亀裂を広げる事になりかねません。どのくらい従業員が理解していて、会社を信頼してコミットしてくれるのか、そういった組織統制としての信頼関係に繋がるのです。

8.まとめ

IPOは素晴らしい会社の成長手段ですが、手段に気を取られることで逆効果になって本末転倒となりえる恐ろしい一面も持ち合わせています。しかし本来は、IPOはメリットが大きいのです。

せっかく夢のあるチャレンジをするのです。従業員も含めてみんなが納得できる状況になれば、困難を打破して気持ちの良いゴールへ迎えるのではないでしょうか。IPOは根性だけで乗り切れるほど甘くはないですし、近頃は根性論経営すらしづらい世の中になっています。少なくとも、会社として従業員に教育の機会を与えるスタンスを提示する必要性はあるでしょう。その解決策として、IPOのための従業員教育研修を導入することは効果的な一手といえます。

 


最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。


 

KaikeiZineは会計プロフェッショナルの活躍を応援するキャリアマガジンです。インタビューや取材を通じての情報発信をご希望の方はお問合せください。
取材・掲載は無料です。
お問合せはこちら