ベンチャーから人気大企業へ変身する魔法のように語られるIPO。 IPO対応は極端に面倒くさいため、実際に上場した当事者でさえも本当にIPOが何かわかっていない人も多く、上場を目指している企業の従業員であればなおさらでしょう。 しかしながら、本来IPOは素晴らしいもの。 本記事では従業員にとっての視点を交えて解説していきます。
目次
- 従業員の置かれている現状
- 従業員にとってIPOを信じていい理由
- IPOを目指すと辞める人がいる理由
- IPO対応は本当に理不尽なのか
- 何を学べばいいのか
- 教育をせずにIPOを失敗したときのリスク
- 従業員教育の際に大切なスタンス
- まとめ
1.従業員の置かれている現状
あなたはIPOを目指している会社の従業員ですか。こう思っていたりしませんか。
- ・IPOは目指すべきもの
- ・IPOが成功したら幸せになれる
- ・IPOは社会性がある
- ・IPOが成功したら儲かる
合っています◎
既にいる組織で、自分よりも意思決定権限が上の人間が決めて、社内のムードも「IPO頑張っていこう」。だからなんとなく合わせている。そんな感じはありませんか。IPOがどういったもので、なぜIPOを目指すのか明確に回答できるでしょうか。
また、IPOについて考えるとき、同時にこうも思っていませんか。
- ・IPOは極端にめんどくさい
残念ながら合っています。
もしかしたらこうも思っていませんか。
- ・社長や株主だけに良いことがあって自分たちは報われないんじゃないか
これは誤っています。
何が言いたいかと申しますと、結局IPOとは何なのか、メリット・デメリットや全体像、そしてやらなくてはならないことの個々の意味について、従業員は理解していないことがほとんどだということです。実際に私が従業員の人にヒアリングすると「実際のところはよくわかってないですが、まあ頑張らないといけないんですよね」や、社長にインタビューすると「私ですらわかっていないのに従業員はチンプンカンプンでしょう」などと回答されることは珍しくない状況です。
それなのに、従業員はIPOを目指すことになると、これまで必要とされていなかった多くのルールが強制されるわけです。
ここで一つだけまず信じてほしいことがあります。IPOは従業員にとってメリットが大きいということです。
2.従業員にとってIPOを信じていい理由
IPOは価値がないのでしょうか。そうではないことは、名だたる会社が上場を継続していることから自明の理です。
とくに従業員の方は、これから就職する立場として考えてみるといいでしょう。条件が一緒で上場している会社とそうでない会社なら、上場している会社を選ぶ方が大半ではないでしょうか。
他にも労務的な安心も大きいでしょう。上場にあたって従業員が保護される仕組みが手厚くなるからです。ブランド力や競争力といった点においても、上場しているという信用が大きな力となることは理解しやすいですね。財務的にも資金調達がしやすくなり、大資本がゆえに出来る勝負を行えるようになります。
すなわち、従業員においてIPOして上場会社に勤めるということは、より安定感・安心感のある環境で就業できるということです。また、上場会社というブランドのある看板で勝負できるため、業務のやりやすさや面白みが急成長します。
従業員にとってはIPOを目指すことは苦労することもありますが、メリットも大きいと言えます。
実は、会社の株主や社長にとっては、コストやリスクが大きくメリット・デメリットで考えると結論が出し難く、好みによる判断となるところなのです。このあたりは次章で記載します。