■トリガー条項とは何か
「トリガー条項を発動してガソリン税を抑えるべきだ」
という意見も最近、目にします。どういう意味なのでしょうか。
●トリガー条項とは「ガソリン税を措置法から揮発油税法等に戻す条文」
トリガー条項とは、租税特別措置法第89条のことです。次のようになっています。
【引用元】租税特別措置法(e-gov)
「ガソリンの平均小売価格が連続3カ月で160円/ℓを超えたら措置法第88条の8の適用を止め、揮発油税と地方揮発油税が定める税率に戻す」
というのがこの条文です。このトリガー条項が発動されたら、1リットルあたりのガソリン税は措置法の53.8円から本来の28.7円に戻ります。
【引用元】揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率の適用停止等について(国税庁)
そして、全国平均のガソリンの小売価格は2021年10月以降、ずっと160円を超えています。
経済産業省「給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)」から筆者作成
●トリガー条項を発動するには「立法」が必要
措置法第89条の要件はすでに満たしているので、発動してもいいはずです。しかし発動しません。「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」第 44条で、現在凍結されているからです。
【引用元】東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(e-gov)
「別に法律で定める日までの間、その適用を停止する」は、「第89条の規定を復活させるには別途立法措置が必要である」ということです。この立法措置が「トリガー条項の凍結解除」として期待されていましたが、19日の自民・公明・国民民主の3党の合意で先送りとなりました。
「『暫定』税率」と言いながら実は常態化しており、止めることすら一苦労…というのが今のガソリン税なのです。