(11)「相続税の申告・納税」の申告期限は、相続開始後10カ月以内に住所地の税務署に行う。相続税の納付は、申告期限までに金銭で一括納付するのが原則。ただ例外として、延納や物納も可能。相続税の申告に必要な書類は、
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の出生からの戸籍謄本
・被相続人の戸籍の附表または住民票(本籍記載)
・被相続人の住民票除票
・相続人全員の印鑑証明書
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票
・固定資産税評価証明書
・不動産の登記簿謄本
このほかにも、用意できたらしていきたいのが
・生命保険金などの明細書
・退職手当などの明細書
・小規模宅地等にかかる課税価額の計算明細書
・相続財産明細書
・納税猶予の適用を受ける特例農地等の明細書
・債務・葬式費用の明細書
・純資産価額に加算される贈与財産価額等の明細書
・相続財産の種類別価額表
・相続税の総額の計算書
などだ。
相続税の申告有無の判断についてはここでは省く。
(12) 「国民年金の死亡一時金請求」については、被相続人が国民年金保険料を3年以上納めており、一度も老齢基礎年金、障害基礎年金を受け取っていなかった場 合、被相続人と生計を一にしていた遺族は、保険料納付期間に応じた定額の「死亡一時金」が支払われる。ただし、遺族が遺族基礎年金、寡婦年金の受給資格が ない場合に限られる。寡婦年金と死亡一時金の両方の受給資格がある場合には、どちらか一方だけを選ぶ。なお、手続きは、被相続人の住所地の市区町村国民年 金課など行う。
このほか、名義変更や解約などが必要な手続きについては以下のものがある。被相続人が生前所有していた不動産や動産、契約していたサービスの中には、相続財産とみなされるものもあり、名義変更には遺産相続の手続きが前提になるので注意が必要だ。
(13)「不動産の名義変更」は、被相続人が土地・建物などの不動産を所有し、それを相続する場合に登記簿の名義変更が必要になる。手続きは地方法務局。相続すると、固定資産評価証明書に基づいて相続税が発生。相続開始から10カ月以内に申告・納税する必要あり。
(14)「預貯金の名義変更」だが、被相続人名義の預貯金口座は、死亡届が受理された直後から相続が確定するまで事実上凍結される。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更する。
(15)「株式の名義変更」も被相続人の死亡届が受理された直後から売買ができない。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、株式の名義人を被相続人から相続人に変更する。株式評価額に基づいて相続人は相続税の納付義務が発生。相続開始から10カ月以内に申告・納税する。
(16)「自動車所有権の移転」も重要だ。自動車は相続財産となる動産であるため、遺言書や遺産分割協議によって相続人を確定させ、所有権を被相続人相続人に移転する。これについては、相続開始から15日以内となっている。
(17)「固定電話の名義変更」
(18)「公共料金の名義変更」(電力、水道、ガスなど)
(19)「クレジットカード」については、解約しカードを廃棄する必要がある。クレジットやキャッシュローンの未精算金・返済額が残っている場合は、相続財産となるため、相続人は相続放棄をしないかぎり、精算・返済する義務がある。
(20)「運転免許証」は最寄りの警察に返還する。
(21)「パスポート」は都道府県旅券課に返還。
(22)「ゴルフ会員権の名義変更」については、クラブによって規定があり、名義変更できない場合やクラブが買い取る場合もある。
このほか、「携帯電話」「プロバイダー」「介護サービス」「給食サービス」などの契約サービスについても手続きを行う必要がある。