日本経済新聞が5日、「フリーランスを下請法の保護対象にすべく、政府が調整に入った」と報じました。2023年の通常国会での成立が予定されています。もし法改正が実現したら、フリーランスの懸念事項であるインボイスにも影響するかもしれません。
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下請法とは何か?独占禁止法との違いも確認
下請法とはどのような法律でしょうか。
独占禁止法との違いを含めて確認しましょう。
下請法とは
下請法の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」です。
次の2つの実現を目的としています。
- 親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめること
- 下請事業者の利益を保護すること
下請事業者に発注する親事業者は、どうしても立場が強くなりがちです。
放っておけば、勝手に発注後に下請代金を減額したり、支払を遅延させたりします。
こういった優越的地位にある親事業者を規制し、下請事業者の利益を保護するのが下請法です。
独占禁止法との違い
独占禁止法でも「優先的地位の濫用」を禁止しています。
しかし、規制する前に「行為をした側は優越的地位にあるか」「不当な不利益があったか」などの個別認定が必要です。
下請事業者側の立証も求められます。
「時間と手間がかかり、迅速な処理が行えない」のが独占禁止法の欠点となっています。
この欠点を補うのが下請法です。
親事業者の要件や違反行為の類型が決まっているため、短期間で問題解決できます。
下請法に定める5つの項目
下請法には、次の5つを定めています。
下請法の対象となる取引
下請法は「委託取引」に適用されます。
ここで言う委託取引とは、次の4つです。
【引用元】知るほどなるほど下請法(公正取引委員会)
なお、単なる商品の売買は下請法の対象から外れます。
規制される親事業者
規制対象は、資本金額と取引内容で決まります。
次の両方を満たす事業者は、下請法の対象です。
- 資本金が1000万円超
- 資本金1000万円以下の事業者や個人事業主と委託取引を行う
ただし、製造委託や役務提供委託などでは、資本金の基準が変わります。
【引用元】下請法の概要(公正取引委員会)
親事業者の義務
委託取引を行う親事業者は、次の4つを守らなくてはなりません。
- 発注書などの書面の交付義務
- 取引内容を記載した書類の作成・保存義務
- 下請代金の支払期日を定める義務(商品受領や役務提供から60日以内)
- 下請代金の支払いが遅れた場合の利息の支払い義務
親事業者の禁止行為
親事業者は、買いたたきや成果物などの受領拒否、自己都合による返品といった行為を禁じられています。
【引用元】親事業者の禁止行為(公正取引委員会)
違反した場合の措置
親事業者が下請法に違反すると、立入調査の後、公正取引委員会から減額分の返還などの是正勧告を受けます。
また、書面の交付義務と書類の作成・保存義務に違反すると、50万円以下の罰金が科されます。
違反した親事業者の名称や違反行為が公表されることもあります。
【引用元】知るほどなるほど下請法(公正取引委員会)