IT導入支援事業者としてIT導入補助金の対象に認定されれば、自社のITツールが広く導入されるチャンスとなります。その認定に必要な要件や申請方法を解説します。
中小企業や小規模事業者が生産性向上につながるITツールを導入する際に活用できる「IT導入補助金」があります。
IT導入補助金では、事務局に登録された「IT導入支援事業者」が認定を受けたITツールのみが補助対象となります。
IT導入補助金を用いて自社製品の導入を進めたいIT企業としては、IT導入支援事業者への登録が必要となります。
ここでは、IT導入支援事業者の登録要件や申請方法などをご紹介します。
IT導入支援事業者とは
まずは、IT導入支援事業者とはどういうものか見ていきましょう。
IT導入支援事業者の定義
IT導入支援事業者について、IT導入補助金の公募要領に記載されている内容を要約すると次のようになります。
補助事業者と共に事業を実施するパートナーとして、
- ITツールの説明・導入・運用方法の相談等のサポート
- 補助金の交付申請や実績報告等の各種申請・手続きのサポート
を行う。
つまり、IT導入支援事業者とは、中小企業・小規模事業者に対して、ITツールの提案や導入などを行うばかりでなく、IT導入補助金の申請にあたっての支援も行う事業者と言えます。
IT導入支援事業者になるには、事務局に申請した上で、審査を経て採択される必要があります。
IT導入支援事業者の登録形態 個人事業主は?
IT導入事業者の登録形態には、「法人」と「コンソーシアム」の2種類があります。
「法人」は、ITツールの登録から実績報告の支援まで単独の法人が行うものです。
「コンソーシアム」は、幹事社1社と構成員から成るもので、複数の法人や個人事業主が構成員として参画できます。
IT導入支援事業者の役割
IT導入支援事業者の役割について、IT導入補助金のホームページには次のように示されています。
- 中小企業・小規模事業者等の生産性の向上に資するITツールを事務局に登録
- 補助事業を進めようとする申請者に対し、適切なITツールの提案・導入・アフターサポートを実施
- 補助事業に関する申請者からのお問い合わせ・疑問等について、事務局に代わって対応を行い、円滑な事業推進のサポートを実施
- 申請者による補助金不正受給等の不正行為を防止し、適切な補助金交付が為されるよう、補助事業の管理・監督を実施
- 導入されるITツールにより、申請者にとって生産性の向上効果を最大限引き出すことを支援
IT導入支援事業者の申請方法
次に、ITベンダーやサービス事業者が、IT導入支援事業者の申請を行う際の手順について見ていきましょう。
1. 入力情報
IT導入支援事業者の申請は、IT導入補助金サイト内の「IT事業者ポータル」から行います。
仮登録→本登録という流れで行います。
仮登録時には、次のような情報を入力します。
- 登録形態
- 法人番号
- メールアドレス など
本登録時には、次のような情報を入力します。
- 企業の基本情報
- 企業実績
- 財務状況
- 自社製品・サービス情報
- サポート体制
- 情報セキュリティ対応状況
- 宣誓事項 など
2. 法人の添付書類
また、本登録時に必要書類の添付が必要となります。法人の場合は、次の書類を添付します。
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書
3. 個人事業主の添付書類
個人事業主の場合は、次の書類を添付します。
- 本人確認書類
- 所得税の納税証明書
- 確定申告書Bの控え
IT導入支援事業者になるには?対象の要件
IT導入支援事業者として登録するためには、定められた要件を満たす必要があります。
法人の IT導入支援事業者登録要件
「法人」の登録形態の場合、主には次のような要件が設けられています。
- 本事業の対象要件を満たすソフトウェア、それに類するサービスを提供・販売した実績を有していること
- 補助事業者が導入したITツールにおいてデータ連携不全や運用障害等が発生しないようメンテナンス及び管理を徹底すること
- 補助金の交付以降も補助事業者への十分な支援(導入支援、定着支援、活用支援、フォローアップ)を行える体制を整えること
- 補助事業者からの問合せや相談、苦情対応について迅速かつ適切に対応し、導入したITツールのサービスについて、より高度かつ利便性等の向上を実現するための利活用推進に係る取組(ツール等のより高度な利用方法や、利便性を向上させる情報分析の方法等のレクチャー等)を実施すること
コンソーシアムの IT導入支援事業者登録要件
「コンソーシアム」の登録形態で幹事社の場合、主には次のような要件があります。
- 本事業のすべてに係る業務を監督する幹事社となり、構成員が関与し事務局に申請されるITツールの登録及び交付申請、実績報告の内容について十分な把握に努め、責任を持って事務局とのやり取りにおける窓口となって活動を行うこと
- コンソーシアムを構成する構成員を1者以上有し、コンソーシアム内で1者以上は、本事業の対象要件を満たすソフトウェア、それに類するサービスを提供・販売した実績を持ち、事務局が定める要件を満たすITツールを登録及び提供できること
- 本事業における情報管理、適正な補助金運用等に関する協定等を幹事社・構成員間で締結し、幹事社はこれを事務局からの要請があった際に即時に提出できるよう、管理・保管すること
なお、「コンソーシアム」の登録形態で構成員の場合、法人だけでなく個人事業主でも登録が可能です。
ITツールの登録申請
IT導入支援事業者として登録された後に、ITツールの登録申請を行います。これも「IT事業者ポータル」から申請します。
ITツールの登録にあたって、「ソフトウェア」「オプション」「役務」「ハードウェア」などの分類があります。
「ソフトウェア」としては、下記のプロセスに該当するものが対象となります。
「オプション」は、ソフトウェアの機能を拡張する目的のものや、セキュリティを確立するための補足的機能です。
「役務」は、ソフトウェアの導入に伴って必要となる導入設定や、導入後のサポートなどです。
「ハードウェア」は、PCやPOSレジなどですが、ソフトウェア(会計・受発注・決済・ECのうちいずれか1つ以上の機能を有するもの)の導入と合わせて購入する場合に限られます。
「ソフトウェア」の登録対象となるプロセスは次のとおりです。
- 顧客対応・販売支援
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 供給・在庫・物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
- 業種固有プロセス:建設業や製造業、小売業、飲食業など特定業務のプロセス
- 汎用プロセス:自動化・分析ツールなどで、業種や業務が限定されないが生産性向上への寄与が認められるもの
ITツールの登録申請にあたっては、次のような情報を入力する必要があります。
- ITツールの基本情報
- 導入にかかる作業内容
- ソフトウェア価格
- 導入可能な業種 など
また、そのITツールの機能説明資料や価格説明資料を添付して提出します。
IT導入補助金は2023年も実施見込み 登録申請締め切りは?
IT導入支援事業者の要件や登録方法などについてご説明しました。
IT導入支援事業者の登録申請は、2022年11月10日まで行われています。
登録を考えているIT企業は機会を逃さないように申請を進めていってください。
また、IT導入補助金は2023年も実施されると見込まれます。
詳細はこれからですが、これまでと同様にIT導入支援事業者の登録が行われることになるのではないかと思われます。
取材記事のお問い合わせはこちらから
◆最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします。
【メルマガを購読する】