3.営業外収益費用、特別損益
(単位:百万円)
| 2018年 6月期 |
2019年 6月期 |
2020年 6月期 |
2021年 6月期 |
2022年 6月期 |
||
|
営
業 外 収 益 |
受取利息及び配当金 | 32 | 35 | 40 | 43 | 45 |
| その他営業外収益 | 2,244 | 1,022 | 1,045 | 1,301 | 1,752 | |
| 合計 | 2,276 | 1,057 | 1,086 | 1,344 | 1,797 | |
|
営
業 外 費 用 |
支払利息 | 72 | 45 | 96 | 28 | 30 |
| その他営業外費用 | 504 | 866 | 1,067 | 1,813 | 2,374 | |
| 合計 | 576 | 911 | 1,163 | 1,842 | 2,404 | |
2022年度は営業外収益、営業外費用ともに増加していますが、主にその他営業外収益(+5億円)、その他営業外費用(+6億円)によるものです。
注記表の損益計算書に関する注記を見ると関係会社との取引高としてその他営業外収益11億1千2百万円が記載されています。
なお2018~2022年度にかけて特別損益項目は発生していません。
4.利益
続いて利益について見ていきます。
(1)営業利益、営業利益率推移

2022年度の営業利益は14億円、営業利益率は1.2%となり、前期比14億円減少(△51.7%)となっています。
2022年度は非監査を中心に増収決算だったものの、業務委託費や賞与関連費用をはじめ各種のコストが増加したことで大幅な営業減益決算となっています。
また営業利益率は前期の2.7%から半減した1.2%となっており、ここ5期でみると4番目に低くなっています。
(2) 当期純利益、当期純利益率推移

2022年度の当期純利益は3億円、当期純利益率は0.3%となり、前期比10億円減少(△76.2%)と大幅な減益決算となっています。
営業減益に加えてその他の営業外費用が前期比6億円増加しており、その他の営業外収益の増加5億円や法人税等の減少6億円でカバーできず、当期純利益ベースではぎりぎり黒字を確保しています。
5.その他
ここまで損益計算書を中心に見てきましたが、それ以外の項目についても見ていきます。
(1) 配当

* 支払日ベース
2022年度は支払配当金として2億円が計上されており、前期とほぼ同額となっています。
なお2018年度と2020年度が9億円、2019年度が4億円となっており、以前と比較すると支払配当は減少傾向にあります。
2018~2022年度にかけての社員一人当たり配当金額を見ておきます。

* 配当総額÷基準日(前期末)時点の社員数 にて算出
(2) 長期貸付金
(単位:百万円)
| 2018年 6月末 |
2019年 6月末 |
2020年 6月末 |
2021年 6月末 |
2022年 6月末 |
|
| 長期貸付金 | 4,170 | 4,370 | 5,240 | 5,840 | 4,740 |
長期貸付金は年々増加していましたが、2022年度は11億円減少し、47億4千万円となっています。
注記表の貸借対照表に関する注記では関係会社に対する金銭債権・債務として長期金銭債権47億3千万円が記載されており、長期貸付金の残高とほぼ一致していることから、長期貸付金のほとんどが関係会社に対するものと推察されます。
なお長期貸付金は総資産の5%を超える割合であり、かなりの金額が貸付に回っていることになります。
(3) 無形固定資産
(単位:百万円)
| 2018年 6月末 |
2019年 6月末 |
2020年 6月末 |
2021年 6月末 |
2022年 6月末 |
|
| 無形固定資産 | 13 | 0 | 952 | 2,282 | 2,227 |
2019年度まではそれほど大きな金額ではありませんでしたが、2020年度10億円、2021年度23億円、2022年度22億円と大きく増加しています。
附属明細書には2021年度、2022年度ともに「無形固定資産の増加は、主に自社利用目的のソフトウェア開発によるものである」との記載があり、自社利用目的のソフトウェアが増加しているようです。
なお2022年度の附属明細書には期中減少額として9億円が記載されていますが、その内容については特段記載がありません。
損益計算書上、除却や売却に関する損益は計上されておらず、無形固定資産減少の要因は不明です。
(4) 投資有価証券
(単位:百万円)
| 2018年 6月末 |
2019年 6月末 |
2020年 6月末 |
2021年 6月末 |
2022年 6月末 |
|
| 投資有価証券 | 1,400 | – | – | – | 1,206 |
2019年度以降残高のなかった投資有価証券が12億円計上されています。
最後に
監査業界でトーマツに次ぐ2位につける有限責任あずさ監査法人について、2022年度の損益計算書を中心に決算を分析してきました。
売上については単価アップを主因として監査、非監査及び全体として過去最高を記録しています。
利益面では業務委託費、情報システム関連費用、人件費等の増加により営業利益、当期純利益いずれも減益となっており、特に当期純利益はここ5年間で最も少ない3億円にとどまっています。
2022年度の決算からは監査業務含めてクライアント数をコントロールしている姿勢がうかがえ、今後もこのトレンドが続くかもしれません。
【参考・出典】
*1 「第38期 業務及び財産状況説明書」、有限責任 あずさ監査法人
*2 「令和4年版 モニタリングレポート」、公認会計士・監査審査会
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・2022年版 4大監査法人決算分析 有限責任監査法人トーマツ
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