◇振替納税の留意点等
1.口座振替依頼書は申告期限(所得税は3月15日、消費税は3月31日)までに提出が必要です。
また、期限内に提出された確定申告分が対象であり、期限後申告分や修正申告分は利用できません。
2.一度口座振替の手続きを行えば、引落し口座の変更や口座振替の取りやめがない限り、自動的に次回以降も振替納税が行われます。
3.転居等で納税地を所轄する税務署が変更となる場合は、改めて口座振替依頼書を変更後の税務署に提出する必要があります。
なお、口座振替依頼書の提出に代え、次のいずれかの手続をすることも可能です。
イ、申告所得税又は消費税の申告書の振替継続希望欄に「○」を記載して提出する(どちらかの申告書に記載すれば、もう一方の税目についても振替納税を継続して利用できます。)。
ロ、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」を変更前の税務署に提出する。
4.残高不足等で口座から引落しができない場合には、法定納期限の翌日から延滞税がかかります。
なお、金融機関は振替日当日の朝に1回しか引落しを行いませんので、振替日の前日までに預貯金残高の確認が必要です。
5.領収証書は発行されません。なお、振替納税により国税を納付した事実について書面による証明が必要な方には、税務署で証明を行います。
また、納付済の納税証明書の発行が可能となるまで、口座引落しから1週間程度かかる場合があります。
◇所得税の延納制度
所得税の確定申告分(期限内申告に限る)については、納める税金(申告書第一表51)の2分の1以上の金額を令和5年3月15日(水)までに納付すれば(振替納税利用の場合は振替日に引落しされれば)、残りの金額(申告書第一表65)は同年5月31日(水)まで77日間延長することができます。
申告書第一表

申告書第一表

◇延納期間中の利子税
延納期間中は、延納届出額に年0.9%の割合で利子税がかかります。
利子税は100円未満の端数を切り捨て、その金額が1,000円未満のときはかかりません。
また、計算の対象となる延納税額については、1万円未満は切り捨てて計算します(国税通則法第119条)。
≪計算式≫ 利子税=延納届出額×0.9%×延納日数÷365日
したがって、延納届出額が53万円以上から利子税がかかります。この利子税は必要経費に算入できます。
◇利子税を賢く減らすには
延納届出額は、延納期間中いつでも納付できます。また、利子税は延納日数に応じて計算しますので、資金繰りによって可能であれば、延納期間中に延納届出額の一部を納付すると、利子税がかからなくなる場合があります。
―例(振替納税利用の場合)―

◇まとめ
所得税や消費税の確定申告と納税は期限内に済ませることが大事です。
納税は、口座振替を利用すれば本来の納期限より1カ月近く先に引落しとなるため、資金繰りに余裕ができます。
所得税の納税については、延納制度を利用することで5月末まで77日間の余裕ができます。
また、延納期間中に一部納付をすることで、利子税を減らしたりかからなくできる場合もあります。
一部納付は、振替納税を利用していてもできますし、延納分の振替日の5月31日には残額が引落しとなりますので、ダイレクト納付などを利用して賢く節税に努めましょう。
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