最近、さまざまな業界が人手不足であるのはよく聞かれます。その中でも、IT業界は特に人材不足が叫ばれています。ここでは、その状況とIT業界で今後さらに需要が高まるであろう職種について、ご紹介します。
この記事の目次
IT業界は2030年には79万人不足する!
2019年の経済産業省の「IT人材需給に関する調査」を読み解くと、「IT需要が今後拡大する一方で、我が国の労働人口は減少が見込まれ、IT人材の需給ギャップは 2030年には約79万人に拡大する」ことが示されています。
「IT人材需給に関する調査」より
これはIT需要の伸びが高い場合の想定であり、需要の伸びがそれほど高くなければ、人材不足は約45万人とも試算されています。
いずれにしても、IT人材の不足が今後も継続することが見込まれているわけです。
なお、ここでIT人材とは、IT企業に所属するシステムエンジニアやプログラマーなどの技術者、一般企業での情報システム部門に所属する人材を指しています。
IT人材が不足している理由
それでは、IT業界での人材不足が発生しているのはなぜでしょうか。
その理由を見ていきましょう。
IT需要の拡大
企業のクラウド活用やDX化が推進されるなど、ITへの投資は増加傾向にあります。
新型コロナウイルス感染症の影響によって、業務のオンライン化も推進されています。
また、さまざまなサービスがネットを通して提供されるようになっていて、ITサービスを提供する企業も増加傾向にあります。
このような背景から、IT人材の需要は確実に高まっています。
さらに、先ほどの経済産業省のレポートにあるように、今後もIT人材の需要拡大が見込まれているわけです。
労働人口の減少
総務省の調査によると、2021年の労働力人口は6,860万人であり、前年に比べて8万人の減少(2年連続の減少)となっています。
ここで、労働力人口とは、15歳以上の人口のうち,就業者と完全失業者を合わせた人口を指しています。
今後、日本の総人口が減少していく中で、行政として女性やシニアの活用を推進していったとしても、労働力人口はさらに減少していくと予想されています。
IT人材の需要が増加していく中で、供給側の労働力人口自体が減少しており、IT人材の不足にさらに拍車がかかっています。
IT技術の進展による需要効果の変化
IT分野の中でも、特にAIやビッグデータ、IoTといった先端IT技術のニーズが急速に高まっています。
これらの先端IT技術の活用によって、従来よりも生産性が大幅に向上したり、これまでにない新しいサービスが提供されたりしています。
また、ネットを介して提供されるサービスが増えるに伴って、情報セキュリティの重要性も増しています。
情報漏えいなどの情報セキュリティの事故が増加しており、重大なセキュリティ事故が発生した場合、企業の存続に繋がる怖れもあります。
一方で、このような先端IT技術に対応できる人材はまだまだ少ない状況です。
新しい技術であるため、それらの経験や知見を持つ人材がまだ多くいるとは言えません。
そのため、このような先端IT技術において、人手不足が顕著になっています。