3. コンサルティング/税務・法務 業務収入ランキング

続いて監査・保証業務を除く、コンサルティング/税務・法務の業務収入を見ていきます。

なおここでの数値は全体の業務収入から監査・保証業務の収入を差し引く形で算出しています。

2021年度 2022年度 増減額 増減率
デロイト 1,842 2,269 427 23%
PwC 1,720 1,936 217 13%
EY 655 839 184 28%
KPMG (*) 831 827 △4 △0%

* KPMGの2022年度決算数値は未公開のため、2020年度及び2021年度の数値を記載

 

1位はデロイトで2,269億円を計上しています。

デロイトは前期比427億円、23%と大幅な増収を達成し、2021年度に続き1位となっています。

2位はPwCで1,936億円となり、こちらも前期比217億円、13%と2桁の増収を達成しています。

3位はEYで839億円(前期比184億円、28%の増収)、そして4位はKPMGで827億円(前期比△4億円、0%の減収)となっています。

ここでもKPMGの数値は2021年度のものであり、有限責任あずさ監査法人は2022年度決算において非監査業務で37億円増収となっていることを加味すると、KPMGの数値はもう少し増えるかもしれません。

コンサルティング/税務・法務 業務収入では、1位デロイトと2位PwCが2千億円程度なのに対し、3位EYと4位KPMGは8百億円台にとどまっています。

1位のデロイトを基準にするとEYとKPMGは4割ほどに過ぎず、日本のコンサルティング及び税務・法務サービスに関してはデロイトとPwCの2強と言えそうです。

なおグローバルにおいてはコンサルティングがBIG4の成長ドライバーとなっていますが、PwCとEYはサービスラインごとの業務収入を公表しておらず、コンサルティングで比較を行うことはできません。

そこで、デロイトとKPMGの公表数字を参考に、仮に税務・法務が全体の1割を占めるとすると、コンサルティングの業務収入は以下となります。

2021年度 2022年度 増減額 増減率
デロイト (*) 1,618 1,981 364 22%
PwC (**) 1,514 1,709 194 13%
EY (**) 501 666 165 33%
KPMG (***) 642 622 △20 △3%

* Impact Reportで公表しているコンサルティング等の業務収入と有限責任監査法人トーマツの非監査証明業務収入の合計

** 収入全体からメンバーファームの監査業務収入及び税務・法務収入(収入全体の1割と想定)の合計を差し引いた金額

*** KPMGの2022年度決算数値は未公開のため、2020年度及び2021年度の数値を記載

4. サービスライン別収入

最後にサービスライン別の収入を見ていきます。

デロイト PwC (**) EY (**) KPMG
監査・保証 861 343 897 832
コンサルティング 1,981
1,936
839
622
税務・法務 287 205
合計 3,130 2,279 1,736 1,659

* デロイト、PwC及びEYは2022年度、KPMGは2021年度の実績

** PwC及びEYのコンサルティングは合計から監査・保証の収入を差し引いた数値であり、税務・法務を含む

 

コンサルティングに強いデロイトとPwCでは、監査・保証業務の割合はそれぞれ28%、15%となっています。

グローバルではDeloitteが19%、PwC Internationalが36%であり、同一ネットワーク内で見るとデロイトは監査・保証業務の割合が高く、PwCは低くなっています。

この2ファームについては強弱あるもののコンサルティング等の割合が高いことから、グローバルに近い収入構成と言えそうです。

一方、EYとKPMGは監査・保証業務の割合が50%を上回っています。

グローバルではEY Globalが32%、KPMG Internationalが34%となっており、日本のEY及びKPMGは所属する監査法人への依存度が高い、すなわちファーム内で監査法人のプレゼンスが未だ大きいと言えるかもしれません。

終わりに

2022年度 4大国際会計事務所の売上ランキング 日本版を見てきました。

収入全体ではデロイトが唯一3千億円を超え、他の3ファームを引き離しています。

デロイトは監査・保証で2位、コンサルティング等では1位とバランスが良く、2位PwCはコンサルティング等ではデロイトに続く2位と強みを持っているものの、監査・保証では上位3ファームに大きく後れをとっています。

一方、EYとKPMGはコンサルティング等で上位2ファームに引き離されており、全体の差につながっています。

現状はグローバル同様、日本でもデロイトの一強と言えそうです。

 

【参考・出典】

  • デロイトトーマツグループ

Impact Report 2022

業務及び財産の状況に関する説明書類 第55期、有限責任監査法人トーマツ

  • PwC Japanグループ

PwC Japan Group Annual Review 2022

業務及び財産の状況に関する説明書類(第17期)、PwCあらた有限責任監査法人

業務及び財産の状況に関する説明書類(第17期)、PwC京都監査法人

  • EY Japan

統合報告書2022

統合報告書2022 Facts and figures

第23期 業務及び財産の状況に関する説明書類、EY新日本有限責任監査法人

  • KPMGジャパン

KPMG Japan Our Story2021/22

KPMGジャパンの概要

第38期業務及び財産状況説明書、有限責任あずさ監査法人

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2022年版 4大国際会計事務所ランキング

 

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