2017年1月1日から、大阪府が法定外目的税として、宿泊税を導入する。大阪観光局の発表では、2016年上半期(1〜6月)に大阪を訪れた外国人観光客数は、前年同期比41%増の450万人だった。観光客の増加は、税収にも大きく影響してくるが、新税導入で経理処理においては注意が必要だ。
東京都に続いて、2017年1月1日から大阪府も宿泊税を導入する。目的は、世界有数の国際都市として発展していくため。税収は、都市の魅力を高め、観光の振興を図る施策に充当する。
課税額は、一部東京都を参考にしているが、一人一泊2万円以上の場合は300円という新しい基準を設けている。
宿泊税は、東京都が平成14年10月から導入しているが、対象は旅館業法に規定するホテル営業または旅館営業の許可を受けてこれらの営業を行うホテルまたは旅館となっている。民宿やペンションなどは通常は課税対象にならないが、前述の許可を得て営業している場合には課税対象だ。大阪府も東京同様の扱いとなる。
納入方法は、特別徴収となっており、ホテルまたは旅館の宿泊施設の経営者が、宿泊者から税金を徴収し、納入する。
新税が誕生して注意が必要なのは、会社の出張等で大阪府内に宿泊した場合の消費税の仕入税額控除だ。例えば、大阪府内のホテルに会社の出張として1泊した場合だが、1泊1万2千円(素泊まり)のホテルに泊まった場合、借方:旅費交通費1万2千円(課税仕入)、仮払消費税 960円(不課税)、宿泊税 100(不課税)となり、貸方:現金1万3060円となる。
今までどおり1万3060円という合計額を全額消費税の課税処理をしてしまうと誤った処理になる。宿泊税には、消費税がかからないので100円分は仕入税額控除の対象とならないわけだ。
大阪出張が多い企業にとっては、このように消費税区分についても注意しておく必要。宿泊税は限定的で、それほど大きい額ではないものの、出張が多ければ処理が煩雑になり、誤って課税取引として計上してしまう可能性もある。課税取引にしてしまうと、仕入税額控除が過大になり、消費税の過少申告となってしまう。消費税の税務調査では狙われやすい項目だ。
東京都は2014年度末時点で、都内2千程度あるホテルや旅館のうち、約540カ所が宿泊税の対象としており、その税収は2014年度で16億2千万円となっている。大阪府では税収見込みとして2016年度(1月から徴収開始により2カ月分)こそ1.7億円だが、通年で10億円を見込んでいる。