職権による換価の猶予
職権による換価の猶予には以下の条件が必要です。
- その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき
- その財産の換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき
したがって、税務署の徴収担当者に現状(窮状)を訴えて正直に説明することで、職権による換価の猶予処分をお願いすることも考えましょう。
≪参考≫猶予制度のチラシ(国税庁)
分割納付相談時のポイント
続いて、換価の猶予を認めてもらうための分割納付相談時のポイントは、「納税に対する誠意」を見せることです。この「誠意」がとても重要になります。
国税徴収法第151条では、「税務署長は、(省略)その者が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、(省略)滞納処分による財産の換価を猶予することができる。」と規定しています。
この「納税に対する誠意」について、徴収職員は以下の点を考慮します。
・納税者が現在において、その滞納に係る国税を優先的に納付する意思を有していること
したがって、現在納付可能な金額があるにも関わらず、色々な理由を付けて納税に充てないことは認められません。
・滞納国税の早期完納に向けた経費の節約、借入金の返済額の減額、資金調達等の努力が適切になされていること
例えば借入金の返済について、借入先とのリスケを行うなどの努力と交渉経過を示す必要があります。
他にも、これまでにおいて期限内に納付していたことや、過去に納税の猶予又は換価の猶予等を受けた場合において確実に分割納付を履行していたことも考慮されます。
次に、「期限を守る」ことです。
ここで言う期限とは、徴収職員から提出を指示された資料等の提出期限や検討を依頼された内容についての回答期限などを言います。
仮に期限までの提出や回答が無理な場合には、そのまま期限を徒過することなく、徴収職員へ必ず連絡のうえ説明をして指示を受けましょう。
「期限を守る」は「約束を守る」ことです。
そして、徴収職員も人の子です。
例えば、相談時に少しでも現金を持って行って納税をするとか、納税準備預金の開設・活用をすると担当者には好印象を与えます。
さらに、換価の猶予を受けたら、その後の新たな滞納は発生させないことが重要です。
せっかく受けた換価の猶予が、新規滞納が発生したことによって取り消しになりますので注意が必要です。
そのためにも、分割納付にはダイレクト分納を利用すると期限を忘れずに済みます。
≪参考≫国税の分割納付にダイレクト分納を使ってみませんか?(国税庁)
【執筆者過去記事】
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