3.監査報告書
続いて監査報告書を見ていきます。
2020年度まではEY新日本有限責任監査法人が、2021年度及び2022年度は個人の公認会計士事務所が会計監査を行っており、いずれの期も無限定適正意見となっています。
なお2022年9月期では個人事務所2つのうちの1つが交代しています。
2021年度以降の監査報告書では、監査上の主要な検討事項(KAM)の内容及び決定理由と監査上の対応が記載されています。
2021年度は、連結では固定資産の減損と所有不動産の売却取引がKAMとして記載されていますが、単体では無しとなっています。
2022年度は、連結では固定資産の減損のみとなっており、単体では無しとなっています。
2021年度以降計上されている貸付金は総資産の45%以上を占め、金額的に重要とも考えられますが、連結及び単体の監査報告書、いずれにおいても言及されておらず、KAMには相当しないと判断されていたようです。
(2021年度 監査報告書-連結)
(2021年度 監査報告書-単体)
2022年9月期の半期報告書に対する中間監査報告書では継続企業の前提に関する重要な不確実性が記載されています。
(2022年9月期 中間監査報告書-連結)
最後に
2023年4月に経営破綻したユニゾの有価証券報告書を、2019年3月期の年度決算から2022年9月期の中間決算まで見てきました。
EBOによる上場廃止前後から、親会社に対する貸付金や配当金の支払と大口金融機関に対するものを中心とした有利子負債の返済に対し、手元流動性を確保するため事業用資産の売却を進めたものの、コロナ禍等の外部要因もあり急速に事業が縮小し、またそれにも関わらず厳しさを増す資金繰りが財務諸表から浮かび上がってきます。
また会計上は親会社に対する貸付金の回収可能性の判断、固定資産の保有目的の変更の合理性、また注記の妥当性などが論点になっていたと考えられ、この辺りは今後も議論になるかもしれません。
【参考】
【執筆者過去記事】
ユニゾホールディングス 有価証券報告書分析 前編(財務諸表)
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