滞納処分によって財産を差し押さえられてしまった場合に、どのようにしたらその差押えを解除してもらえるのかについて、元国税徴収官が分かり易く説明します。

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差押えの解除とは

国税の差押えとは、督促状が発付された税金の滞納処分の一環として、納税者の財産の法律上の処分を禁止することです。

したがって、納税者が差押えに係る国税を完納した場合等には、差押えは解除されることになります。

では、完納以外に差押えが解除される場合も含めて説明します。

絶対解除(差押えを解除しなければならない場合)

徴収職員(税務署)が、差押えを絶対に解除しなければならない場合は以下の3点です。

1.納付、還付金などの充当、更正の取消しその他の理由によって差し押さえられている国税の全額が消滅したとき(国税徴収法第79条1項1号)。
なお、上記の納付には、国税通則法第41条1項の規定による「第三者の納付」も含まれます。

2.差し押さえられている財産の価額が、その差押国税に優先する他の国税、地方税その他の債権の合計額を超える見込みがなくなったとき(同法第79条1項2号)。

3.滞納処分の停止をしたとき(同法第153条3項)。

裁量解除(差押えを解除してもらえる場合)

一方、以下の6点のいずれかに該当するときは、徴収職員は差押えを解除することができます。

1. 差押超過による解除
差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消し、差押財産の値上がりその他の理由により、その財産の価額が差押えに係る国税及びこれに優先する他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至ったとき(国税徴収法第79条2項1号)。

2. 差押可能な他の財産の提供
滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき(同法第79条2項2号)。

「適当な財産を提供した場合」とは、税務署にとって換価及び保管又は引揚げに便利な財産であって、その財産を換価した場合の換価代金から滞納国税の全額を徴収することができる財産を提供した場合をいいます。

3. 公売を3回しても売れない
同一の公売財産を3回公売に付しても入札等がなかった場合に、その差押財産を更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき(同法第79条2項3号)。

この3回には、他の行政機関等が換価執行決定(競売)した回数も含まれます。

4. 換価の猶予
換価の猶予をする場合において、事業の継続、生活の維持のために必要があると認めるとき(同法第152条2項)。

5. 納税の猶予
納税の猶予の許可を受けた者から差押解除の申請があり、その申請を相当と認めるとき(国税通則法第48条2項)。

6. 差押換の請求
質権や抵当権など第三者の権利の目的となっている財産が差し押さえられた場合に、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有し、かつ、その財産から国税の全額を徴収することができることを理由として、その第三者から差押換の請求があったとき。(国税徴収法第50条)。