租税条約を適用するには届出が必要
租税条約による軽減・免除を受けるには、その軽減・免除を受ける非居住者等が「租税条約に関する届出書」を作成し、支払者を経由して支払の前日までに支払者の納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。
よって、<ケース>のように、国内に恒久的施設(PE)を有しないことから、条約の事業所得条項を適用して課税の免除を受ける場合には、「様式6 租税条約に関する届出書(人的役務提供事業の対価に関する所得税及び復興特別所得税の免除)」を提出することとなります。
芸能人等の役務提供事業は注意
人的役務の提供事業の中でも、芸能人又は職業運動家の役務提供事業の対価については、恒久的施設の有無に関わらず、役務提供地国において課税することとしている条約も多く見られます。
よって、海外から来日した芸能人等が日本で芸能活動を行い、海外の芸能プロダクション等に対価の支払いをする場合には、租税条約の確認が必要です。
総括
人的役務の提供事業の対価については、租税条約が締結されている場合には「PEなければ課税なし」という事業所得課税の基本的なルールが適用されるため、日本での課税は免除されます。
しかし、租税条約が締結されていない場合には国内法が適用されることから、恒久的施設の有無に関わらず、対価の支払いの際に20.42%の税率で源泉徴収しなければなりません。
また、国内法では、源泉徴収の対象となる人的役務が列挙されているため、それらに該当するかどうかの確認も必要となります。
【執筆者過去記事】
米国デラウェア州LPS事件~LPSは「法人」に該当するのか?
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