ふるさと納税の返礼品ルール厳格化が、2023年10月1日から開始されました。10月を境に、多くの自治体では「値上げ」に踏み切り、さらにはポータルサイトに掲載されている返礼品の総数も減少するという、目に見える結果が出たようです。
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2023年10月1日からふるさと納税の返礼品ルールが厳格化されました。
ニュースなどでも大きく取り上げられたことにより、9月には駆け込み需要が発生。
ふるさと納税の返礼品を縦覧できるポータルサイトでは、9月中に取り扱いが終わる返礼品を紹介するための特設コーナーが設置されるなど、大きな騒ぎとなりました。
では、本当に10月1日を境にオトク感が薄れたのでしょうか。実際のところを見てみましょう。
10月からの改正で9月には駆け込み需要が発生
2023年10月からの、ふるさと納税の改正内容とは以下のようなものです。
10月改正のあらまし
(1)募集適正基準の改正
ふるさと納税の返礼品には、募集に要する費用を寄附金受入額の5割以下としなければならない規定があります。
この「募集に要する費用」について、
- ワンストップ特例事務
- 寄附金受領証の発行
といった、付随費用も含めて寄附金額の5割以下とするよう改正されました。
例えば、寄附金額1万円、募集費用5,000円で和牛1kgが貰える返礼品の場合、付随費用1,000円も募集費用に含めるようになれば、寄附金額は1万2,000円以上でなければならなくなります(実際は、返礼品ごとではなく、返礼品全ての総額での計算)。
(2)地場産品基準の改正
加工品のうち「熟成肉」と「精米」について、原材料が返礼品を出している地方自治体と同じの都道府県内産であるものに限り、返礼品として認めるとされました。
元々、「地場でとれた肉や野菜などをお礼の品にする」というのがふるさと納税本来の趣旨であり、輸入肉を少し加工しただけで「地場の品」とするのは制度の趣旨にそぐわないと問題視されていたためです。
10月改正の詳しい内容については、以下記事をご参照ください。
【10月から改正】ふるさと納税、自治体の負担増で9月までに利用がお得?
9月の寄附金額が前年同月比7倍超になった自治体も
前述の改正があったことから、各自治体は「9月30日受付終了」の返礼品を大々的に宣伝し、ふるさと納税ポータルサイトでも特設コーナーを設けるなどして、制度の利用を煽る勢いは過熱。
その結果、駆け込み需要が発生し、例えば秋田県大館市では、9月の寄附額は前年比2.8倍にも上ったと発表(参考:「ふるさと納税 駆け込み相次ぎ58%増 大館市23年度 上半期で4億円超える」『北鹿新聞社』)。
また、北海道北見市では、9月の寄附金が前年同月比で実に7.4倍にもなったと報道されました(参考:「北見市、9月ふるさと納税9億6400万円 前年比7倍超、駆け込み需要」『北海道新聞』」。
実際に、駆け込み需要が必要となるほどの大きな変化が、改正前と改正後であったのでしょうか。
値上がり幅および各自治体が出品する返礼品の総数で比較してみましょう。