「値上がり」続々……姿を消した返礼品も多数
多くの自治体で「値上がり」=寄附金額の引き上げがあったとされ、一律2,000円の引き上げ(福岡県中間市)、一律5割引き上げ(群馬県伊勢崎市)などの自治体もあったと報道されています(参考:「ふるさと納税厳格化、返礼品「値上げ」続々…「これ以上の経費削減は無理」一律で5割引き上げる自治体も」『読売新聞』、「ふるさと納税厳格化…北九州・京築地区12市町が寄附額引き上げ検討【市町別寄附受け入れ額一覧】)」『西日本新聞』)。
ポータルサイトの登録返礼品数、1割減
また、出品そのものが終わってしまった返礼品も数多くあります。
ふるさと納税ポータルサイトで数字を見てみると、掲載されている返礼品の総数は9月時点(調査日:9月27日、以下同)で544,822件だったものが、10月(調査日:10月2日、以下同)には488,484件と約1割の減少となりました。
どのカテゴリーの返礼品が一番多く姿を消したのか、傾向を見てみましょう。
※なお、果物の旬が終わることや、対象施設のリニューアルといった理由により、今回の改正と関係なく9月いっぱいが期限だったものも含まれます。
【掲載数が減少した返礼品カテゴリー】
3位:スポーツ・アウトドア
3位は「スポーツ・アウトドア」カテゴリーでした。
ゴルフボールにオリジナルプリントを施すなどして「地場産品」としていたものが、基準の厳格化が進む中で募集取りやめとなったといった事情があります(参考:「ふるさと納税厳格化…北九州・京築地区12市町が寄附額引き上げ検討【市町別寄附受け入れ額一覧】」『西日本新聞』)。
10月改正では熟成肉と米の地場産品基準のみが厳格化の対象とされましたが、影響は熟成肉と米以外にも及んでいるもようです。
2位:魚介
2位は「魚介類」カテゴリーでした。
美味しいカニやホタテなどは、返礼品としても大人気の品。
しかし、ふるさと納税を利用する人が最も多く住む大都市圏までは産地から距離があり、また冷蔵や冷凍でなければならない必要性から輸送コストがかさみがちなことが、ネックになったのかもしれません。
1位:米
1位は「米」カテゴリーでした。
今回のルール改正によって、原材料が同じ都道府県産でなければ返礼品として認められないとされたことが、大きく影響した模様です。
値上げはせず、お値段据え置きの自治体もあった!
一方、奈良市や京都市、ふるさと納税の寄附額が日本トップレベルである宮崎県都城市など、寄附額改定がないことを売りにしている自治体もあります。
また、中国の水産物輸入停止措置の影響が大きいとされるほたては、北海道別海町ではほたて漁師支援のため当分の間寄附金額を堅持するとしています。
まとめ:今後どうなる?ふるさと納税の未来
今回の改正は、大都市圏に新鮮な肉や海産物などを送る際に、輸送コストが高くなりがちな北海道や九州などにとって不利な結果となりました。
また、ゴルフボールのような人気商品に独自の印字をすることで地場産品扱いにするという「自治体の努力」も、生まれては国から規制されるといういたちごっこを繰り返しています。
そこで、コストをかけない返礼品として、電子化された体験・観光用のクーポン券などが注目されており、数を増やしているようです。
一般的な「ふるさと納税」のイメージに合ったような、肉・魚介類・米といった、その地方の美味しい返礼品は単価が高くなって手が出にくくなり、自治体のコストを押さえる電子化できるような商品が増えていき、これまでのふるさと納税のイメージが今後は段々と変わっていくかもしれません。
なお、現在ふるさと納税に参加中の1,785自治体は、10月以降の継続申請が総務省による審査の結果全て認められました。
不参加なのは、制度に反対する東京都および、ルール違反によって除外されている兵庫県洲本市、宮崎県都農町のみです。
ふるさと納税の仕組みそのものは、基本的には総量の変わらない「税収」を地方自治体が取り合うゼロサムゲームです。
東京都港区や江東区、また沖縄県など、ふるさと納税には参加していても返礼品を用意していない地方自治体もありますが、いずれも住民税の流出に悩まされています。
ふるさと納税による住民税の流出は、そのまま税収減に直結するわけではなく、翌年減収額の75%が地方交付税として国から補填されます。
しかし逆に言えば、25%は減収のままです。
また、地方交付税を受け取れない「不交付団体」は補填を受けられません。
さらに、財務省は国からの補填額を抑制するような制度変更を提案しているとの報道もありました(参考:「ふるさと納税、自由財源に 財務省、国の穴埋め額を抑制」『中日新聞』)。
手を変え品を変え、さまざまな返礼品を準備しなければ、税収が流出してしまうとあっては、手を引くことは一人負けの状況を作ってしまいます。
改正はありましたが、現状では、自治体によるあれやこれやの知恵を絞ったふるさと納税誘致合戦が、しばらく続いていくことは間違いないようです。
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