租税法における信義則の適用
このように、個別規定を形式的に適用すると妥当な結果を得られない場合に修正し得るとする信義則の機能は、あたかも法人税法132条の2《組織再編に係る行為計算の否認》を包括的否認規定と認定したいわゆるヤフー事件(最高裁平成28年2月29日第一小法廷判決・民集70巻2号242頁)にも通じるものです。同事件では、組織再編税制上の個別規定を充足する行為であっても、それが合理的でなく不自然である場合には制度の濫用に当たるとして、包括的否認規定により、否認し得るとされました。
このように信義則には、法の欠陥を修正したり補ったりする機能があるといわれており、実定法の規定の尽きたところで、時には法創造的機能を発揮することが予定されています。租税法律主義の要請の下、こうした信義則の適用が租税法においても認められ得るか否かについては議論のあるところです。
信義則の適用というと、とかく税務職員によるいわゆる誤指導を信頼した納税者の救済問題に焦点が当てられますが、「深川渡し」のような私人間の現実的な紛争解決を模索するための法理でもあるわけです。このような性質を考えると、信義則を租税法律関係に持ち込めるか否かという問題には、また、違ったものが見えてきます。




