公認会計士にどんなイメージを持っていますか?この記事では主に令和の最新データを見ながら、会計士試験、年齢、女性の進出などの会計士業界の動向や最新事情を明らかにしていきます。

この記事の目次

公認会計士の登録者数(会員数)の推移

公認会計士の登録者数(会員数)日本公認会計士協会(以下JICPA)発表のデータを見ると、公認会計士(=会員)の登録者の増加ペースが上がっているのがわかります。
令和元年から4年にかけて、毎年604人、685人、737人増と上がっていき、令和4年から5年にかけては1,221人と大幅に増えています。
平成までさかのぼると、平成24年から平成25年にかけて1,845人増えたのをピークに、それ以降登録者の増加ペースは鈍化し続けていました。
しかし令和元年から2年の604人増でその鈍化も底を打ち、今後はさらに伸びていきそうという期待が持てる結果になっています。

ではそれもふまえ、今後の会計士業界はどうなっていくのでしょうか?
令和のデータを軸に、

  1. 会計士試験をとりまく状況
  2. 会計士の年齢分布
  3. 会計士の女性進出

この3点に着目して、会計士業界の現状と未来像を探っていきましょう。

公認会計士試験をとりまく状況

願書提出者数の推移

公認会計士試験の願書提出者数の推移

※第I回短答式試験、第II回短答式試験のいずれにも願書を提出した受験者は名寄せ(同一人物のデータを統合)して集計した数

・願書提出者は増加傾向
難関試験として知られる公認会計士試験ですが、願書提出者数(短答式+論文式)は増加傾向にあります。
たとえば令和3年は、コロナの影響で通常年2回の短答式試験が1回しか行われなかったにも関わらず、願書提出者は14,192人(前年比107.2%)と微増しています。
令和4年は18,789人(前年比132.3%)と大幅に増えていて、前年の試験回数減の影響で、受験を翌年に先延ばしせざるえない人が多かったことが推測されます。
さらに令和5年は平成23年以来となる2万人を突破し、願書提出者数(短答式+論文式)の増加が加速しているのがわかります。

合格者数の推移

公認会計士試験の合格者数の推移

公認会計士試験の合格率

合格者数は維持傾向
公認会計士試験の合格者数(論文式)は、ゆるやかな増加傾向にあります。
データをさかのぼると、受験層の多様化と合格者数の増加を目的に、現在の短答式と論文式試験の形式になり、両試験の再受験免除制度と一部試験科目の免除が導入された平成18年は3,108人、続く平成19年が4,041人で、合格者数(論文式)はピークを迎えています。
それ以降は低下に転じますが、平成27年の1,051人で底を打ってからは、現在まで毎年微増し続けています。
令和になってからも、コロナの影響で試験日が大幅変更となった令和2年、通常年2回の短答式試験が1回しか行われなかった令和3年も合格者数(論文式)は大幅に減ることなく、令和4年は前年より96人増(前年比107%)、令和5年は前年より88人増(前年比106%)とわずかに増えています。

合格率は低下傾向
令和になり、合格率(論文式)は低下傾向にあります。
試験の難易度は変わらないようで、それにより願書提出者数(短答式+論文式)の増加に比べると、合格者数(論文式)はそこまで伸びてはいません。
実際、願書提出者数(短答式+論文式)が急増した令和4・5年が特に合格率(論文式)が低下しています。
平成12年から令和5年の約25年間の最低合格率(論文式)は平成23年の6.5%で、それと比べても、令和4・5年の7%代が決して良い数字とはいえないことがわかります。

今後の公認会計士試験について

令和に入ってからの願書提出者数(短答式+論文式)の伸びには、先行きが不透明な社会で安定したキャリアを築くため、公認会計士資格を取得したいという需要の高さを感じます。
この需要は今後も続くと思われます。
難関試験を突破する合格者(論文式)がどれだけ出るかによって、今後の公認会計士の登録者数の伸びも変わってくるでしょう。

公認会計士の年齢分布

年代別登録者数(会員)

公認会計士の年代(会員)

 

・中核を担うのは35~50歳の中堅・ベテラン層
JICPAが2023年に発表したデータによると、公認会計士の会員数は「40歳以上45歳未満」が最も多く、次いで「35歳以上40歳未満」「45歳以上50歳未満」「50歳以上55歳未満」と続いています。
公認会計士として一定活躍してきたであろう中堅・ベテラン層が、現在の公認会計士業界の中核を担っていることが伺えます。
ただし「25歳以上30歳未満」も2,171人と上の世代と大きく乖離しているわけではなく、各年代のバランスはある程度保たれています。

20代の公認会計士試験結果

公認会計士試験のメインは、願書の提出者(短答式+論文式)も合格者(論文式)も20代です。
今後の登録数の伸びにも大きく関わる20代の動向について確認します。

20代の合格者数の推移

20代の合格率の推移

・20代の合格数・合格率は増加
公認会計士試験の20代の合格結果を見てみると、令和に入ってから合格者数・合格率(共に論文式)共にほぼ増加傾向にあります。
令和元年から3年にかけて、「25歳以上30歳未満」の合格者数(論文式)が微減していますが、令和4・5年には増加に転じています。
「20歳以上25歳未満」については、令和の5年間で合格者が約200人も増加しています。
全年代の合格者も同じ期間で約200人であることとあわせると、ほぼこの世代が増加のほとんどを占め、20代が公認会計士の登録者増をけん引していることがわかります。

令和元年から5年にかけての全体の合格率(論文式)が10.7%から7.6%へと低下傾向にある中、20代は合格率(論文式)も増加傾向です。
願書提出者数(短答式+論文式)の多くを占める20代が、しっかりと結果を出していることがわかります。