合格までに長期間かかることの多い税理士試験。今回は、修士の学位を取得し認定を受けることで科目が免除され、確実に税理士試験合格に近づくことができる「大学院での科目免除制度」について解説します。
この記事の目次
大学院による科目免除・院免とは
税理士試験は、1年に1科目ずつ合格できたとしても5科目合格までに5年、人によっては10年以上かかることもあります。
そんな長期戦になりがちな税理士試験合格に向けた選択肢の一つが、大学院での試験科目免除制度です。
大学院で2年間学んで修士の学位を取得し、国税審議会の認定を受ければ、科目が免除されます。
この記事では、2年で確実に税理士試験合格に近づくことができる「大学院での科目免除制度」について詳しく解説します。
税理士試験の科目免除・認定合格とは
以下の表のように、大学院での学位取得以外にも税理士試験の科目が免除される制度はあります。
該当するのは税務署に勤務した者(いわゆる「国税OB」と呼ばれる人たち)、また公認会計士と弁護士(公認会計士・弁護士となる資格を有する者を含む)。
大学院での科目免除も、修士と博士の学位取得で免除される科目数が変わります。
制度 | 条件 | 免除科目数 |
税務署勤務による免除
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10年または15年勤務 | 税法の全科目免除 |
23年または28年勤務 | 税法+会計学の全科目免除 | |
資格による免除
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公認会計士 | 税法+会計学の全科目免除 |
弁護士 | 税法+会計学の全科目免除 | |
修士取得による免除
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税法で申請 | 1科目免除 |
会計学で申請 | 2科目免除 | |
博士取得による免除
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税法で申請 | 2科目免除 |
会計学で申請 | 3科目免除 |
修士は基本2年で学位を取得できますが、博士の学位取得には、修士に加えてさらに3年が必要です。
税理士試験の科目免除を目指すという観点では、修士の取得にとどめるかたが多いようなので、今回は「修士の学位取得による科目免除」に絞って話を進めます。
修士の学位に関しては、税法と会計学の両方の学位を取得した人を「ダブルマスター」と呼びます。
通常の2年よりも時間はかかりますが、ダブルマスターとなると税法2科目と会計学1科目の計3科目が免除になります。
税理士試験の科目免除・院免の申請の条件
修士の学位取得による科目免除を申請するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 必要な単位(税法での申請なら関連科目を4単位以上、会計学での申請なら関連科目を同じく4単位以上)を修得している
- 修士論文を執筆し、修士の学位が授与されている
- 免除希望の税法・会計学どちらかの税理士試験に1科目合格している
(修士の学位取得の時点で未合格であれば、1科目の合格後の申請になる)
まずは、税法・会計学のどちらも、試験で1科目に合格していなければ申請ができない点はぜひ覚えておいてください。
1科目の合格の上で申請の書面を作成、国税審議会会長宛に申請して認定を受ければ、税法であれば残り2科目が免除となり、税法の3科目すべてに合格。
会計学であれば残りの1科目が免除となり、会計学の2科目すべてに合格となるわけです。
税理士試験の科目免除・認定合格には会計大学院がおすすめ
税理士試験の科目免除制度を利用できる大学院の一つが、「会計大学院」です。
会計大学院とは、2003年度に開設された会計分野を中心に専門性を高めることができる専門職大学院のこと。
大学を卒業して学士の学位を取得し、各会計大学院の選考をクリアすれば入学ができます。
また、会計大学院では公認会計士の試験免除の申請も可能です。
所定の科目の単位を修得して修士を修了すれば、公認会計士試験の短答式の3科目(財務会計論、管理会計論、監査論)が免除されます。
その会計大学院をまとめる団体が会計大学院協会です。
2005年4月に創設され、現在は12の会員校と、日本公認会計士協会・日本税理士連合会の賛助会員で構成されています。
今回は12ある会員校から、修士取得による税理士試験の科目免除が利用できる会計大学院をピックアップし、ご紹介します。