この記事では、2024年度の税理士試験と公認会計士試験の結果と傾向を探ります。ともに令和に入って最多の受験者数を記録した、2023年度との比較で見えてくるものもあります。試験合格の可能性を高めるためのヒントがありますよ。

この記事の目次

2023年度の税理士試験と公認会計士試験は、ともに受験者数(願書提出者数)が令和で最高に。
また合格者数は微増か横ばいでした。

今回はその2023年度と比較しながら、2024年度の税理士試験・公認会計士試験の結果と傾向を見ていきます。

今後の受験に役立つ情報もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

2024年度(第74回)税理士試験の結果

2024年度 2023年度
全体の受験者数(A) 34,757人
(うち女性は28.4%)
32,893人
(うち女性は28.0%)
5科目合格者数 578人
(うち女性は25.6%)
600人
(うち女性は23.5%)
一部科目合格者数 5,184人
(うち女性は31.1%)
6,525人
(うち女性は30.3%)
合格者数合計(B) 5,762人
(うち女性は30.6%)
7,125人
(うち女性は29.7%)
合格率(B/A) 16.6% 21.7%

2024年度の「全体の受験者数」は、2023年度より1,864人増えて34,757人に。
受験資格要件の緩和により、2023年度は受験者数が2022年度より4,040人増えたが、今年度もその効果が持続していると見ていいでしょう。
女性が占める割合も、「全体の受験者数」~「合格率」の5項目すべてで2023年度より増加していて、ここ数年目立っている女性の進出も継続しています。

一方で、全体の「5科目合格者数」「一部科目合格者数」はともに2023年度より減少。
特に「一部科目合格者数」は2023年度から1,341人も減り、その結果「合格者数合計」も1,363人の減少、合格率も約5%低下しています。
これは、必須科目である会計学の財務諸表論の合格率が大幅に落ち込んだことが、大きな要因と見ていいでしょう。

次で詳しく見てみます。

科目別の合格率について

【会計学科目】 合格率
2024年度 2023年度
簿記論 17.4% 17.4%
財務諸表論 8.0% 28.1%
【税法科目】 合格率
2024年度 2023年度
所得税法 12.6% 13.8%
法人税法 16.4% 14.0%
相続税法 18.7% 11.6%
消費税法 10.3% 11.9%
酒税法 12.1% 12.7%
国税徴収法 13.0% 13.9%
住民税 18.2% 14.7%
事業税 13.7% 16.4%
固定資産税 18.0% 17.3%

2024年度の合格率を科目で見ると、やはり目立つのは「財務諸表論」の合格率の大幅な落ち込みです。
2023年度から約20%も落ち、8.0%は過去10年で最低。
ほかの科目の合格率が2023年度から上がるか微減なので、「財務諸表論」の落ち込みが全体の合格率の低下を引き起こしているのは明らかです。

参考までに、2024年度に次いで「財務諸表論」の合格率が低かったのは2018年度の13.4%です。
その前年の2017年度に合格率が29.6%の大台に乗り、そこから約15%落ち込んでいます。
主要科目の「簿記論」「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法」の10年間の合格率を見ても、ここまで大きく変動している科目はありません。
つまり「財務諸表論」は難易度に波があり、また合格率が高く出た翌年度は揺り戻しで試験の難易度が上がり、合格率が落ち込む傾向にあるといえそうです。

ちなみにXでは、2024年度の「財務諸表論」では社債発行差金の問題が難しかったという意見が見られました。

年齢別の受験者数と合格率について

受験者数 合格率
2024年度 2023年度 2024年度 2023年度
41歳以上 11,543人 11,362人 8.4% 13.1%
36~40歳 4,668人 4,619人 14.3% 20.8%
31~35歳 4,990人 4,973人 17.8% 23.5%
26~30歳 5,775人 4,916人 19.6% 27.1%
21~25歳 6,255人 5,695人 24.2% 29.7%
20歳以下 1,526人 1,328人 38.8% 36.2%
合計 34,757人 32,893人 16.60% 21.7%

「受験者数」を年齢別で見てみると、41歳以上が最も多く、最も少ないのは20歳以下、また21~25歳から36~40歳までにかけて減少していくのは、2023年度と変わりませんでした。
ただし2023年度に比べ、2024年度は20歳以下が198人、21~25歳が560人、26~30歳が859人増えていて、それが2,000人弱という受験者数全体の増加を後押ししています。
ピークとなった2005年の5.6万人から、近年はその半分程度まで落ち込んでいた受験者数を、受験資格要件の緩和で回復したい、若い年齢での税理士資格取得を促したいという日本税理士会連合会の狙いが功を奏しているといえるでしょう。

次に、「合格率」を年齢別で見ると、財務諸表論の影響でほかの年代・合計の合格率がともに2023年度よりも落ちている中、20歳以下だけは微増しています。
具体的には、ほかの世代が軒並み5%前後減少している中、20歳以下は約2%増加。
全体の合格者数(5科目合格者数+一部科目合格者数)の5,762人のうち、20歳以下は592人で、全体のボリュームの中ではまだそこまで大きくないものの、この592人にはなんと5科目合格者が1人含まれています。
今後、早期に税理士資格を取得して活躍する若い税理士が増えてくる可能性を感じます。

 

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