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年間1万2千円越えたら特別医療費控除 医療費控除とのダブル適用はNG

自民党・公明党は16日、平成28年度税制改正大綱をまとめた。消費税の軽減税率ばかりがクローズアップされているが、一般納税者にとっては地味ながらも重要な税制が見直されている。そのひとつが「医療費控除の特例」。時限措置ながら、薬をドラッグストアーなどで年間1万2千円以上購入すれば、越える部分について総所得から控除される。

「医療費控除の対象は、年間10万円以上だからな~」と、諦めていた人に朗報だ。なんと、来年から、ドラッグストアなどで市販されている薬を年間1万2千円以上購入すると、「特別医療費控除」が受けられるのだ。従来の医療費控除の特別枠として設けられるもので、新制度は市販薬に限られる。これまでも市販薬を購入し、領収書を残していれば医療費控除の対象だったが、控除のハードルが一気に下がった格好だ。

新制度は、12月16日に公表された平成28年度税制改正大綱に盛り込まれたもので、正式名称は、「セルフメディケーション(自主服薬)推進のためのスイッチOTC薬控除」。
適用は、平成29年1月1日から平成33年12月31日まで。この間に、自己もしくは自己と生計を一にする配偶者及びその他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品を購入した対価について、年間1万2千円を越える部分について総所得金額等から控除される。無尽蔵に控除するわけではないが、上限は8万8千円なのでかなりの金額になる。

ただ、控除を受けるにはいくつか条件があるので注意したい。
基本的にこの新制度は、適切な健康管理のもと医療用薬品からの代替を進めるものなので、日ごろからの健康管理、予防促進などに取り組む必要がある。
たとえば、大綱に明記されたものを見ると、
①特定健康診断、
②予防接種、
③定期健康診断、
④健康診断、
⑤がん検診
などを受けておく必要がある。
ということは、平成29年からは、医療費控除と特別医療費控除をダブルで受けることも可能?と思いがちだが、これはどちらかの選択制。

なお、医療費控除の申告シーンにおいては、よく保険金や損害賠償金を貰っておいて、その金額を差し引かず、何くわぬ顔して控除申請する人もいるがそれはNG。注意したい。

 

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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