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【“旅する女性タックスアドバイザー” 世界の税金問題】第1回/メーカー女子が日本からドバイへ2年の駐在。ドバイは所得税ないって聞いてたのに?

人気企画「旅人会計人 地球紀行」で新連載がスタート!東京・ニューヨーク・香港で税金アドバイザーを経験した筆者・マリアが、世界中を飛び回る現代人が直面する、税金問題のエピソードをお届けします。

「話が違う」

「怒りにはいつも理由がある。ただし、正当な理由はめったにない」 ―ベンジャミン・フランクリン

 ・・・「話が違う」。戸惑いを露わにするクライアント。またこのパターンかと思い、冷静な切り返しに備える私。

初めに弁明させていただきたいのですが、決して私が失態を起こしたわけではありません!

今日のクライアントは、某メーカー企業に勤める日本在住のOLさん。会社の辞令で、ドバイに2年間、駐在に行くことになっていました。

エンプロイーが旅する時代

はじめまして、税金アドバイザーのワタナベマリアです!

21世紀。出張、出向、海外転籍に海外就職と、人が国境を越えお金を稼ぐ時代。そしてそんな人々に税金のアドバイスをする仕事を、私はやらせてもらっています。

もう少し詳しく説明すると、会社に雇われて国境を越えて働く社員や、海外採用の社員に、彼らの置かれる所得税の立ち位置について説明をするのが、私の仕事。

個人に密接に関係する「所得税」という税目を専門にしていて、その中でもさらに「従業員」を専門にしています。

ニューヨーク勤務時代に取った5番街の写真

かくいう私も、会計事務所のいち従業員です。現在は香港事務所に勤務していますが、これまで東京事務所、ニューヨーク事務所と渡り歩いてきました。

さしずめ、“旅するタックスアドバイザー”といったところでしょうか。

駐在国の税の恩恵を受けられない駐在員

さて前述のとおり、本日のクライアントは、企業内派遣でドバイ駐在になったOLさんです。駐在でドバイとは、羨ましい限りです。

 この記事を読んで下さっている皆様。もしあなたがドバイ駐在になるとしたら、どんなイメージを抱きますか?

「オイルマネー!」

「ラグジュアリーな暮らし!」

…と、いったところでしょうか?

税金アドバイスを生業にしている筆者はまず、こう思います。

「ノータックスカントリーだ!」…と。

そう、ドバイには所得税制がありません。

日本の会社にお勤めの皆様ならご存知の「源泉徴収」。3月になると世間が騒ぎだす「確定申告」。

ドバイにはこれらがありません。所得税がないのです。給料から税金が引かれるなんて概念も、申告をして納税をするなんて概念もありません。

そんな国に駐在へ行くのですから、それは夢も膨らみますよね!

膨らみ切った状態で、タックスカウンセリングに来るクライアント。そんな方々に、私はこうアドバイスしなければいけないのです。

「御社には駐在員の皆様の給与パッケージを、“日本に住み続けると仮定した際と同等の手取り”にするというポリシーがあります。」

「ですので、今受け取っていらっしゃる手取り額、つまり所得税、住民税と社会保険料を引いた後の現金として受け取る部分。その金額を、そのままドバイに行っても受け取り続けることになります。」

そして、ここで必ずと言っていいほど、クライアントから返ってくるのが、冒頭の言葉なのです。

・・・「話が違う」。

少し昔の漫画であれば、ギャフン!と吹き出しに書かれるところでしょう。

大きな会社こそ、従業員同士を公平に扱う必要がある

これはいわゆる、「手取り保障」というパッケージです。日本に居るころと比べて損も得もない手取り額を、駐在期間中に受取ります。

あくまで“パッケージ”で、会社が従業員との間で取決めをするものであって、税務署と取決めをするものではありません。給与計算の話なのです。

もっといえば、すべての会社が採用しているわけではありませし、また、似ているけれども違う制度を持っているという会社もあります。

香港の金魚外。筆者は現在香港在住です

では、なぜこんなことをするのかというと、駐在が原因で給与に不公平さが出てしまうのは良くないと会社は考えているからです。つまり、会社は良かれと思ってやっているのですね。

税金がない、または、低い国に駐在に行く社員。

かたや、税金が高すぎる国に駐在に行く社員。

この両者の公平さを、日本での手取り給与を基準にして、それを保障するという形で実現させようという試みです。

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