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【第2回】税金問題の国際化 世界が国際税務の包囲網

世界で交換される富裕層情報

課税当局は、海外取引調査を効果的に進めるため、外国の税務当局と租税に関する情報を互いに提供し合っている。

この情報交換は、
・国内の調査で入手できる情報では不十分な場合に、外国の税務当局に調査に必要な情報の提供を要請するもの(要請に基づく情報交換)

・外国の税務当局にとって脱税の摘発等に有効と認められる情報を自主的に提供するもの(自発的情報交換)

・非居住者へ支払った利子・配当・使用料に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局に一括して送付するもの(自動的情報交換)

の3つの形態があり、年間数十万件の情報が日本の課税当局に提供されている。

この情報交換の国・地域の輪は年々増加しており、平成27年6月1日現在、90カ国・地域にまで達した。注目は、オフショア金融センター(特に非居住者向けの金融サービスを促進する制度・仕組等を有する地域)を有する国・地域にも広がっている点だ。かつては、顧客の秘密を守ることで知られていたタックスヘイブンだが、近年、タックスヘイブンが脱税やマネーロンダリングの温床になっているとの批判が高まったことから、各国と情報交換協定を締結して情報交換に応じている。

代表的なタックスヘイブンとしては、ケイマン諸島、英領バージン諸島、バミューダなどがよく知られているが、現在ではこうした国・地域とも情報交換を行っている。たとえば、タックスヘイブンに設立した会社の財務情報や株主の情報などが入手されている可能性がある。

金融口座情報の自動的情報交換

平成25年、G20首脳は、海外の金融機関を利用した国際的な脱税や租税回避に対応するため、税務当局間で非居住者に係る金融口座情報の自動的交換を実施することに合意。これを受け、OECDは、各国の税務当局が自国の金融機関から報告される非居住者の口座情報を、課税当局間で交換するための国際基準(「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」)を策定し、平成26年2月に公表した。

交換される情報は、氏名・住所、外国の納税者番号、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等だ。これを受け、日本は共通報告基準を法制化し、国内の金融機関に対し、非居住者が保有する金融口座の情報を、国税庁に報告することを義務付けた。

平成29年から金融機関による対象口座の特定手続きが行われ、同30年から外国の税務当局と情報交換を開始する段取りとなっている。これにより、日本人が海外の金融機関に保有している口座情報が国税当局に把握される。平成27年6月1日時点で、日本を含む90を超える国・地域が、平成30年までにこの共通報告基準に従った情報交換を開始する予定。金融口座情報については世界レベルでガラス張りになっているのだ。

関連記事:
【第1回】税金問題の国際化 世界で節税スキーム潰しを本格化 https://kaikeizine.jp/article/373/

【第3回】税金問題の国際化 国際間の資産移転に監視強化 https://kaikeizine.jp/article/705/

 

 

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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